#199 Substack
後一回でメルマガ200回になります。すごいぞ、われ。
【追記】
0930に送るつもりのメルマガを深夜4時に配信してすみません。。。スケジュール設定間違えました。
前回記事:[Daily Topics]3ACがついに破産申請、本件から得られる学びとDeFi > CeFiなの?って話
解説ラジオ:ラジオで聞くならこちら
IVS那覇行ってきます
沖縄でイベントがあるので、SUSHI TOPで作っているNFTをたくさん配ってきます。モーニングガチ勢として本気を出すので参加される方は一緒に有意義しましょう。
本日のメイントピックス
Comparative Analysis of NFT Marketplaces
MessariのメルマガでLooksRareが取り上げられていたので直近のマケプレ周りの数字を洗いました。LooksRareがローンチされて約半年、X2Y2取引量でOpenseaを抜くほどになっているとのことなのでその実態を定点観測してみましょう。
LooksRareが分からない方は以前、LooksRareが登場した時に書いたメルマガをどうぞ。
Opensea VS LooksRare, NFTマーケットプレイス同士の仁義なき戦い
NFTマケプレの取引Volumeの確認
OpenSeaは2021年までNFT取引において80%以上の市場シェアを持ち、支配的なマーケットプレイスでした。ほぼ独占状態にあるため、強力なブランドを構築し、所有権を集中管理することで2.5%という取引手数料を徴収することができています。
しかし、最近、OpenSeaの優位性に挑戦する代替企業が現れています。その代表的なものが、2022年第1四半期にローンチしたX2Y2とLooksRareです。特に最近はX2Y2の勢いがすごいです。1週間単位で見ると、Openseaの取引量を超えています。2021年末はOpenseaが市場の9割のシェアを持っていたことに比べると、Web3.0市場は王座に君臨し続けるのも大変なのだと実感しますね。
Seven day NFT marketplace sales volume: DappRadar | Source
取引Volumeのシェア率を見るとこんな感じで右肩上がりに上がっています。
https://dune.com/embeds/780815/1393166/582a9328-7c08-4f1f-a856-f871d8b21b6a
X2Y2ってどんなマケプレ?
X2Y2とLooksRareは、中央集権的なOpenSeaに代わる分散型のマーケットプレイスとしてブランドしているマケプレです。両プラットフォームは2022年第1四半期にOpenseaへのヴァンパイアアタックを狙ったエアドロップでローンチし、それ以来、OpenSeaの優位性をトークンによるインセンティブを配布し続けることで取引量を伸ばしてきています。
特筆すべきはマーケットプレイスの手数料の安さです。
OpenSeaは取引の2.5%を徴収しますが、X2Y20.5%、LooksRareは2%です。手数料だけを考えれば安いところで買ったほうが合理的です。
また、X2Y2やLooksRareは取引ごとにネイティブトークン(X2Y2とLOOKS)でユーザーに報酬を与えておりこれらが積極的に取引を行うインセンティブになっています。
その中でもX2Y2が特に伸びている理由ですが、手数料がキャッシュバックされるためです。
<aside> 📌 X2Y2の手数料料金体系 4月1日から4月30日まで:プラットフォーム料金 0%、ガス料金 X2Y2において払い戻し 5月1日以降:プラットフォーム料金 0.5%、プラットフォーム料金。X2Y2において払い戻し
</aside>
取引手数料が安く、その手数料も返ってくる上、取引量に応じてトークンがもらえるとあれば使わない手はありません。
もらったトークンはStakingすることができ、LooksRareであればAPY75%, X2Y2であれば107%で収益を得ることが出来ます。LooksRareが発行する$LOOKSのStaking報酬も一時は5-600%であったことを考えると、かなり下がった感があります。
取引ユーザー数の確認
さて、取引量急増のからくりが分かったところで答え合わせです。取引「量」ではなく、取引「人数」で比較したシェア率のグラフがこちらです。Openseaの一強です。
https://dune.com/embeds/780815/1393157/5bf8510c-cfb2-4370-a735-49f4227ed85c
これはOpenseaをみんな使い慣れているから使うという他に、インセンティブ狙いのウォッシュトレードが多いことを意味しています。ウォッシュトレードは自己売買です。
X2Y2やLooksRareが配っているトークン報酬は、結局はウォッシュトレーダーの利益となるため、このような乖離が生じています。取引手数料が取引インセンティブを下回る場合、ウォッシュトレードは常に利益をもたらすからです。このようなウォッシュトレードは通常、高い取引量を持ち、少数のアービトラージャーによって行われます。その結果、OpenSeaは過去30日間で、ユーザー数、取引量ともに92%と、はるかに高いシェアを獲得しています。
この結果は良いことではありませんが、過程としては意味があります。
トークンによる報酬は人を強烈に引きつけるのでローンチして間もないサービスに人を集めることが出来ます。今みたいに。そして、その間にOpenseaを超える便利で分散化されたマケプレになっていれば成功、できなければ失敗です。
Crypto界でよく言われる話、スーツ vs コミュニティ
これはCryptoの外の世界でもよくある対立構造です。大企業が大量の資金と人材を投入して作った事業とスタートアップが気概で作ったサービスのシェア争うなどでよく見られます。
例えば、送金アプリのVenmoとCashAppなどがそうです。米国ではお金を送ることを「Venmoする」と言うほどに浸透しているそうですが、Venmoを利用する層は所得が高いエリート層(スーツ)が多く、CashAppは低所得者層が多いそうです。
その事実を裏付けるようにストリートカルチャーである音楽の歌詞の中には「CashApp」というコトバがめちゃくちゃでてくるみたいです。Venmoはスーツ野郎が使うやつ、おれたちのこと分かってるのはCashApp!的なノリです。
参考:
このような二項対立はCryptoの界隈でも起こっていて、OpenseaとLooksRareやX2Y2にも当てはまる構造です。
Openseaも元はコミュニティ側でしたが、母体がかなり大きくなると自然とスーツ側にポジションが変わります。このまま順調にIPOまだ駆け抜けていくことになるのでしょう。
OpenSeaの躍進は今までに培った強力なブランド力から来ています。検索トレンドで見ても「OpenSea」は、「LooksRare」や「X2Y2」よりもはるかに人気のある検索キーワードです。そして、新興のNFTマケプレはそのインセンティブと低い手数料をもってしても、OpenSeaのブランドを克服する方法を見いだせていません。
だけどね、
Web2.0の代表格であるGAFAの動向を見て欲しい。彼らは母体が大きくなりすぎて、国家によって解体されかかっているのげ現在のトレンドです。
米国の独禁法施行によってApp30%手数料問題に緩和の流れ、Crypto決済に光は当たるのか?
つい最近、Facebookが始めたLibraも完全に終了したようです。Diemに名前変えてたのに全く泣かず飛ばずやったうえに、未だにLibraを持ち出される始末。これは泣ける。
リブラ、完全に幕引き──メタ、デジタルウォレット「ノビ」終了へ | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン
Openseaはこれと全く同じ道を辿ることになるでしょう。
株式会社では、国家を超えるような規模のサービスを作ることは出来ないし、その国にメリットのある事業しか展開することができません。これは株式会社の限界です。
GAFAが誕生してからだいたい20年ぐらいで現在の課題を抱えていることを考えると、Openseaは4-5年先の未来で同じ課題にぶつかるはずです。
その時、LOOKSやX2Y2はOpenseaが株式会社の限界に到達した時に機能するコールオプションとなります。そのため、Web3.0に関わる人間はこれらの分散型マケプレを応援する必然性を持ちます。未来は不確実ですから、その時に生き残っているのが今日紹介したLooksRareやX2Y2ではないかもしれませんが、分散型のマケプレはいつか必ず必要になります。
Opensea以外のマケプレを利用するときは要注意
今のままではいけないし、必ず必要にはなるけど問題は山積み。解決されるまでは自衛するしかない
Web3.0の世界は中央集権を嫌う傾向にありますが、Openseaは中央集権であるがゆえに盗品のdelistや販売ページへのCoutionを出すことが出来るため比較的安全です。
逆に新しく出来たマケプレはそういった対応にリソースを割くことが出来ません。現状、分散型マケプレはハッキングなどで奪われた盗品をさっさと売却するフリーマーケット化しています。OpenseaのFloorPriceに比べて極端に安いNFTは盗品である可能性が高く、それを買ってしまうと犯人とグル認定されてWalletAddressが汚染されます。最悪、そのAddressで国内の取引所に仮想通貨を送金したりすると口座を凍結される可能性があります。
気をつけような!
本日は以上です。
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