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本日のメイントピック
Ripple勝利判決で歴史に残る1日に、空前絶後の大暴騰と激動のタイムライン - blockpexy
さて、お休みに入る前、RippleがSECに裁判で勝利した旨のニュースが飛び込んでまいりました。すでに解説は世にあふれていますが備忘録としてまとめておきます。
Ripple裁判は2020年12月です。2年7ヶ月前に始まったRiipple裁判にようやく略式判決が付きました。ちょうど、このメルマガを書き始めたぐらいに始まった訴訟の結果がようやく出てきたので、時間かかりすぎやろ!というのと、しかも勝利?!マジで?!ということで界隈が大盛り上がりしています。
XRPの価格は2倍、流動性も高まりBTCを凌ぐほどです。
Ripple裁判のあらすじについてはこちらの動画・記事が詳しいです。
テキストで読むなら
Ripple勝利判決で歴史に残る1日に、空前絶後の大暴騰と激動のタイムライン - blockpexy
以下、RippleとXRPは読みがどちらもリップルですが、Rippleは暗号資産XRPを発行する母体のRipple社、Ripple社が発行する暗号資産がXRPと表記します。
Ripple裁判の概要
事の概要としては、Ripple社が有価証券とみられるXRPを投資家に販売しそのXRPが未登録の有価証券であるとSECに提訴されていた件です。
発行されたXRPが証券であるかどうかはSECでも議論になっている議題であり、XRPが証券であるならば、市場に流通する暗号通貨の殆どが有価証券に該当する可能性があり裁判の行く末は長年注目されていました。
証券への該当性を判断するに当たっては、過去のHowey社事件を元に作られた条件を元に判断されます。
💡 Howey Testの条件
他社(運営母体)の努力によって
利益を合理的に想定できる
共同事業に
お金を投資する行為
4は資金調達を行った会社が、3は暗号通貨保有者全員と利害が一致しているのでほとんどの事業が該当します。重要なのは1と2で「他社の努力によって利益を合理的に想定できるかどうか」になります。
この場合の他社とは努力する団体や個人のことを指し、XRPの場合はRipple社がその団体に該当するかどうかが争点になっています。Ripple社は個人投資家と直接的な取引はなく、十分に分散化しており、Ripple社の努力によって利益を合理的に想定できるものではないと主張していますが、これはSECが提訴する前から主張している事なのでSECはこの反論は織り込み済みと思われます。
SECは現時点において十分に分散化しているのはこれがBTCやETHのみとしており、資金を渡しリターンを期待する時点で投資契約を締結している=有価証券、Lendingも同等であると厳しい態度をとってきました。もし、XRPが証券であると認められれば、Web3.0の誰でもトークンを発行できる特性は失われ未来は閉ざされることになります。
このような厳しい態度を取る理由は投資家保護の観点からです。ブロックチェーンを生み出したBitcoinは革新的な技術でありましたが、2017年のICO詐欺などが乱立した結果市場全体が投機的なカジノに劣化しています。その見方をすれば劣化版カジノのポーカーチップがStablecoinであり、Stablecoinは証券法にも銀行法にも対応していない有価証券兼預金商品であるとSECのゲンスラー長官は主張しています。
現在の劣化版カジノ状態のWeb3.0業界に参入し詐欺に合う消費者を救うために規制が必要との見方をSECは示しています。SECが無知なまま訴訟しているかと言われるとそんなことはなく、現SEC長官はMITの教授も勤めた経験のあるゲンスラー氏というCryptoガチ勢なので複雑な仕組みでうまく隠してるけどそれ完全にギャンブルだよね?分散を責任逃れの言い訳に使ってるよね?と完全にCryptoの虚像を見抜かれている状態です。
■ Repple裁判の雰囲気
事の詳細は他でも紹介されているので2020年の訴訟当初の雰囲気をお伝えすると、
「Ripple訴訟されてて草w Ripple社ぐらいあくどいことしてたら刺されるわな。ワイらのポジションには関係ないから適当に頑張っといて〜」
という雰囲気でした。
ところが、直近のSECの不適格証券訴訟攻撃によりXRPと同じ穴のムジナになってしまった暗号資産プロジェクトのFounderらが応援する側に周り、現在はRipple社がCrypto帝国の先槍となり業界全体で応援するような風潮になっており、立場が180度反転していて笑います。
ほんまに「勝利」って言っていいの?
Ripple社の代表は裁判に関するAMAを開催し完全勝利宣言のポジショントークを展開しており、「この世でいま、法的に認められた暗号資産はこの世に2つしかない。1つはBTC。もう1つはXRPだ。」などと供述しいます。
Ripple社(当事者)の言うことはまるで信用できません。まして、あのRippleでありますから、ここは冷静に判決や周りの意見などをすくい上げていきたいと思います。
正確な判決はこうです。
機関投資家向けに販売されたXRPは証券。
その他で販売されたXRPは証券ではない。
いやいや、一部証券って指摘されとるやないかーい。
危ないところでした。RippleがSECに勝訴の見出しだけを見ていては真実を捉えそこねてしまうところです。これCrypto業界のポジショントークンの恐ろしいところです。
訴訟内容もちゃんと読んでみるといわゆる【完全勝利】ではなく、割とRipple側の主張が棄却されていました。論点は3つ。
ヘッジファンドやVCなどの機関投資家向け販売
デジタル資産取引所における個人投資家向けのプログラムによる販売
「サービスに対する対価の形態」としての販売
解説記事などを参考に論点をまとめてみます。
■ 機関投資向けXRP販売はRippleの敗訴
今回の判決はVCや機関投資家に販売された7億ドルほどのXRPは投資契約、暗号資産取引所を通じて販売される場合や、従業員や内部関係者に配布された場合は投資契約ではない。となります。この部分に対し、あまり文句を言う声は多くありません。
SEC的には、売るものが何であれ、暗号資産の販売においても売却の方法・状況ごとにHowey Testの概念を適用して判断してokという法的根拠を得られた点が勝利といえます。
■ 取引所でのプログラムによる市場での販売はRippleの勝訴
2つめの論点ではRiipple側の勝利。
裁判所はRipple社に有利な判決を下し、Howey Testの要件である「利益の期待」を満たしていないと述べています。
裁判所は以下のように指摘しています
Ripple社のプログラムによる販売は、ブラインド方式のビッド/アスク取引
プログラムによる販売の購入者は、その支払いがRipple社に渡るのか、それともXRPの他の売り手に渡るのかを知ることができなかった
そのようなプログラムによる販売の購入者は、自らのお金を誰に支払っているのかを知らない流通市場の買い手と同じ立場にあった
これらの判断材料から、裁判所は「購入者は利益を期待して買ったが、Ripple社の努力から利益の期待をしたわけではない」としています。
この判決のポイントは、「商材が自由市場で十分な流動性を持つ場合、証券販売にならない」という裁判所の判断があったことです。通常、株などの証券の売買は証券法により規制されますが、暗号通貨の場合は「十分な流動性があれば証券保護の対象外」と判断されたのです。
言うなれば、Ripple社は自社で大量のXRPを持ってるし市場操作できる影響力もあるけど全体の流動性で考えると影響少ないからセーフ、理論かと。
形としてはRipple側の勝利となりますが、この判決には異論を述べる声もあり、2020年のTelegramが敗訴した判例を持ちだして控訴審でひっくり返るのではという声もあります。
■ 「サービスに対する対価の形態」としての販売もRippleの勝訴
3つめの論点に対してもHowey Testの「金銭の投資」であることを満たしていないとして、Ripple社の正当性が認められました。
つまり、これらの行動はすべて合法です。
Ripple社 → メディア
このニュース出してくれたらXRPあげるよ → 露出が増えたら価格も上がるからみんな so Happyやん!」
Ripple社 → 銀行・金融機関
ウチと提携してくれたらXRPプレゼント!
実際、Ripple社は名だたる既存金融プレイヤーとのプレスを出していますが、その裏にはインセンティブプログラムの存在があります
Ripple社 → 暗号資産取引所
XRP上場させて!報酬はXRP払いね!
FTXがやっていたようなおれおれトークンでの支払いも合法です
Ripple社 → 社員
給与はXRP払いでよろしく!
この点についても、Ripple社の勝利となりますが、控訴審でひっくり返る可能性は全然ある模様です。逆に、今回の裁判で確定した事実ってあるんかしら。
■ 判決まとめ
まとめると、こうなります。
ヘッジファンドやVCなどの機関投資家向け販売 → 敗訴
デジタル資産取引所における個人投資家向けのプログラムによる販売 → 勝訴
「サービスに対する対価の形態」としての販売 → 勝訴
2と3が勝訴ではありますが、控訴審でひっくり返る可能性はあり油断はできません。
株式は一気通貫で証券であるのに対し、トークン販売の過程や状態ごとに証券であったりなかったりする今回の判決は正しいのでしょうか?疑問が残ります。
まだ米国でCrypto市場から甘い汁が吸えるから長生きさせておこうと踊らされているだけなのではとすら思います。
■ Crypto界隈、特に取引所には超プラス影響
今回のRipple裁判の判決は、他の暗号資産に対する訴訟にも同様の考え方が適用されるため、SECに刺されていた暗号資産プロジェクトからも喜びの声が上がっています。
特に、十分な流動性 = 取引所で売買されていればセーフ理論は取引所からすれば歓喜乱舞するような内容であり、自らの正当性を示されたも同然です。
こういった背景を受けて、XRPの上場を廃止していたCoinbaseがXRPを爆速で再上場させています。この爆速具合から推測するに、Coinbase社内から「Fuckin SEC!!」と聞こえてきそうな勢いです。
これまで、SECとの裁判を抱えていることもあり、ファンダがあってもXRPだけが相場とは異なる動きをしてきました。
暗号資産全体が爆上げしている最中でもXRPだけが上値が重たく価格が上がりきっていないシーンはよく見られる光景であり、ある種の様式美として「XRPやからなぁ〜」と受け入れられていたものです。
今回の判決によりXRPの膝の爆弾が取れた状態になったため、他の暗号資産を同じ位置までようやく戻ってきた状態になります。今後はトレード需要なども生まれてくるのではないでしょうか。
SECゲンスラー「まだ負けてない」
控訴審の怖さはあるものの、今回の判決では概ねRippleの勝訴となりました。
「SEC涙目、乙!」って感じですが、直近のニュースを見る感じゲンスラー氏は諦めていないようです。「諦めたらそこで試合終了ですよ」感があります。
おや?最高裁がアップをし始めたようですよ?
参照:The Block
Ripple裁判から考える、XRPの価値
基本的にXRPに技術的な優位性、ビジネス上の必然性はありません。参考↓
基本的にRipple社が原価0で生産した無価値なXRPをインセンティブプログラムで世界中のステークホルダーにバラマキ、個人投資家を出口流動性とすることで売上を立てるビジネスモデルしかありません。
国際送金に使われると言われますが、国際送金はXRPでなくてもできますし、国際送金で価格は上がらないため、XRPを販売するためのマーケティングでしかありません。
直近、NFT領域などの進出などもニュースになりますが、基本的には2番煎じであり他チェーンに対する後追いです。
そんなXRP界隈の特徴として、「絆」が上げられます。
技術的、ビジネス的にも優位点がなく有名なプロジェクトは必然的に敵が多くなるので、コミュニティ内での結束を高めようとする絆力が高まります。
「行くで、やるで、リッブル買い増しや!」の掛け声の元、TwitterのTLに度々現れるため界隈では割りと嫌われており、「仮想通貨何を持ってますか?」と聞かれて「XRP」と答えたら少し距離を取られる。といった、「思想チェック」に用いられている面が少なからずあります。(絶対にある)
さすがに、2年以上裁判がかかったためコミュニティはかなり縮小したものの、いまだ根強い人気を博しており度々Twitterでも見かけますが、それは生存者バイアスであり、2年を経過し生き残っている猛者は相当の強者であると認識しましょう。
機関投資家へのXRP販売での罰則は受けるでしょうが、Ripple社が潰れるほどの致命的な問題になるとは思えないので、引き続き信者ビジネスは続く見込みです。
技術的、ビジネス的観点から応援できる点は全くありませんが、Rippleは信者から巻き上げた売上で裁判を頑張ってくれています。Crypto帝国の先槍として率先して判例を作りに行こうとする姿勢、敬服に値します。
その点は応援すべきかと思いますし、多少のXRPを所有しなければならないなと今回の裁判を受け改めて思い直しました。米国でのロビー活動にXRPの売上を当てて、Cryptoのイノベーションの芽を摘まないようにする活動にこそ価値があると考えます。
裁判で輝く暗号資産銘柄があっても良いと思います。
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💡 真面目な話ばかりでもつまらないので息抜きにネタ枠を用意しています。
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https://twitter.com/nobu_mei/status/1615737153119727616
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