#210 Substack
みんなDAOのこと難しく考えすぎじゃないですかね?ってメルマガを書きました。
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本日のメイントピックス
最近というか、結構前から「DAO作りたいんだよね〜」みたいな相談をされることが増えてきました。ふわっとした相談をしてくる人の中にはNFT、メタバース、DAOなどのコトバが踊りまくっています。
直近では、bitFlyerが公開したweb3リサーチレポートでもDAOの定義が大いに話題になりました。
DAOは2021年後半ごろから国内外で耳にする機会が増えた印象のあるコトバです。DAOはWeb3.0を語る上では欠かせない要素の1つですが、厳密な定義も決まっておらず、イメージしにくいため気持ちだけが先行しているパターンをよく見ます。
そこで、今日は「DAOってもっと身近にあるんやで」ってことを解説し、「あぁ、なるほどこれがDAOね!」と思ってもらえるようなメルマガを書きます。
改めてDAOとは
💡 DAO = Decentralized Autonomous Organizationの略、自律分散型組織のこと
多くの方にとって、自律分散型組織は聞き馴染みのない言葉だと思いますが、その意味を分解して考えると以下のようになります。
自律 :他からの支配や制約を受けることなく、ルールに従い機能する
分散型:人間の意志を介在させない非中央集権的なプログラムが動く
組織 :目的の達成を目指し、複数の細胞や人により構成される器官や仕組み
みんな大好きBitcoinもDAOと言われます。Bitcoinは誰からの支配や成約を受けること無くプロトコルに刻まれたルールに基づいて機能し、そこに人間の意志は介在しない分散型です。そして、中央集権に支配されない経済システムを構築しようとするBitcoinの目的を達成するために複数の人間に建てられたノードよって構成されています。
つまり、Bitcoinは中央の仕組みが自律分散型であり、周りに人が集まった組織になります。反対に中央が経営者、かつ、周りが人の組織を株式会社、働く人が存在しない組織がAIやロボットとなります。
DAOはもっと近くにある
DAOと聞くと難しいですが、一旦Cryptoの世界を離れて考えると、DAOは身近にあります。
例えば、人間を構成する小さな細胞はDAOです。
細胞には様々な種類のものがありますが、基本的には一定のルールに基づいて機能し人の意思が介在しなくても機能する自律分散型の組織です。
マンガでは武術の達人っぽい人が自分の細胞の一つ一つを動かしている様が描写されたりしますがそんなことは不可能であり、細胞に意思は介在しないDAOです。
また、自然の生態系もDAOですね。
サバンナで草を喰んでいるシマウマがいて、それを食べるライオンがいる大きな生態系が絶妙なバランスで成り立っています。絶滅危惧種を保護しようとする人間の介入が部分的にあるかもしれませんが、生態系として大きな括りで見るとこれも人間の意思が介在しないDAOと言えるでしょう。
話が壮大すぎて逆にわからなくなってしまったかもしれませんが、DAOは**「人間が作り出したソフトウェアを自然現象と同等レベルにまで回帰させる」**ことを目指しているので、ゴールは細胞や生態系に近くなるのです。
余談ですが、中央に人間の意思が介在しない組織がDAOであるにも関わらず、〇〇DAOと名乗っているコミュニティはその存在そのものがギャグだと思います。
その中でもMZDAOや國光DAOのような人の名前+DAOの構成は5文字で矛盾していてミームとしてかなりおもしろく個人的にはかなり好きです。(中身は別として、名前だけを見た時に)
ここまでであれば、はいそうですかという話ですが、自分が見つけたDAOの原石を紹介したくてこのメルマガを書きました。ようやく本編です。
DAOはお笑いフォーマットの中にある
鬼越トマホークという芸人を知っていますか?
強面の二人がケンカを始めて、仲裁に入った人がちょこっと傷つくヒトコトを言われて笑いが怒る芸風がおもしろい芸人さんです。
知らない方は見たほうがわかりやすいので動画を置いておきます。
悪口だけど笑える絶妙なラインをついてくるのはさすがだなぁと思います。
彼らの芸風はお笑いフォーマットとして定型化されており、
ケンカを始める
誰かが仲裁に入る
仲裁に入った人がドサクサに紛れて悪口を言われる(←ウケる)
フォローが入るがフォローになってない(←オチ)
となります。
これを共演するタレント毎にリサーチしネタを仕込む労力はすごいなぁ、Cryptoリサーチャー顔負けのリサーチ力だと尊敬していたのですが、これらのネタは自分たちで考えていないそうです。
というのも、彼らは自分たちのオンラインサロンを持っており、そこに鬼越トマホークの悪気地が大好きな人達が集まった結果、鬼越トマホークの二人から次の共演者情報を共有されると自動的に悪口やゴシップネタが集まるコミュニティが出来上がっているとのことでした。
コミュニティメンバーは鬼越の二人から出される大喜利に対して回答することが楽しく、それがTVで放送された日には絶頂ものでしょう。鬼越の二人も労力を掛けること無く、自分で考えるよりも面白いネタが自動生成されるのでwin-winです。
AIもびっくりの自動化システムをなんのテクノロジーを使わずに実装している点、驚嘆に値します。超おもしろいです。
またまた余談ですが、このケンカフォーマットは同じく芸人の千原Jrさんが考えたという話も耳にしましたので、逆にどの部分を自分たちで考えたのか真相を知りたいところです。
つまり、鬼越トマホークのケンカネタは、ケンカフォーマットが中心にあり、その周りに人が集まりコンテンツが作られていくDAOに近いモデルになっているのです。
まさに、これです。
DAOは仕組みの周りにコミュニティが生まれて成長する | consome
本来、芸人のおもしろさはその芸人さんの裁量や技術によるところが大きかったところが、鬼越トマホークの場合はネタの収集、精製、発表の流れが完全に自動化されているため、もはや鬼越トマホークの二人は演者でしか無く、「強面の二人であれば誰でも良い」という状態になっています。
これは、Web2.0からWeb3.0への移行に際し、プロトコルの価値が高まるFat Protocol理論そのままの話です。感激ですね。
Web3.0と関係なさそうな芸人の世界にもFat Protocol理論は存在していたのです。
Web3.0ではプロトコルの価値が大きくなることを示す「Fat Protocol理論」
鬼越DAOが真のDAOになるには
便宜的に鬼越DAOと呼びますが、鬼越DAOが真のDAOとなり自然の生態系に組み込まれるまでに分散化するには圧倒的に欠けている点があります。
それは、ネットワーク効果の有無です。
鬼越DAOにはネットワーク効果が弱い面があります。
もともと、鬼越DAOには以下のようなネットワーク効果(人が増えていく仕組み)がありました。
鬼越の二人がTV出演しケンカフォーマットを披露 ← ウケる
TVでネタはオンラインサロン生が考えていることを公言 ← なにそれおもしろそうってなる
悪口やゴシップ好きがサロンに入会する ← コミュニティの拡大
私自身もTVで本人たちが公言していることから鬼越DAOの仕組みを知りました。ちなみに、サロンには入っていません。
このネットワーク効果の問題点は、1のTV出演する機会がそもそもそんなに無い点です。
たまにTVに出たとしても、ケンカフォーマットはお茶の間のウケが悪いのか最近はあまりやってくれません。
TVでの露出が減るとコミュニティへの参加者は減少し、新規参入者が減るとオンラインサロンという閉じたコミュニティである手前、徐々に人は減りスケールせずDAOは廃れていきます。
DAOが発展していくためには、ネットワーク効果が重要です。
ネットワーク効果は様々あり、Bitcoinの場合は「価格が上がること」によって興味を持つ人が増え、コミュニティへの参加者は増えていきました。
■ 参考)Crypto系プロトコルの成長サイクル(NFT ver)
【Pump】 :価格高騰がニュースになり市場への露出量が増える
【Interest】 :ニュースに触れ、興味を持ったユーザーがNFTについて調べ始める
【Notice】 :NFTの本質、他金融資産との比較を行いNFTの価値に気づく
【Fan】 :NFTを購入しファン化、コミュニティの拡大
鬼越DAOの場合は、トークンを実装していないため、ネットワーク効果として使えるのは**「ネタのおもしろさ」**です。芸人らしくていいですね。
TwitterやTikTokなどでトレンドに載るおもしろネタってめちゃくちゃバズったりしてますよね?まさにあれです。
ネットワーク効果はそのネタがおもしろいと思った人が他の人にも教えたいと思った時に作用します。鬼越DAOで作られるネタはおもしろいので、このネタの露出を増やすことでサロンへの参加者を増やす効果を見込むことができます。
というか、ケンカフォーマットってめちゃくちゃショート動画向けだと思うんですよね。なんでやらんのん?バズりそうやん。
そもそも、鬼越の二人である必要性もないんですから、ネタフォーマットだけ流すのTikTok向きやん。
と思った次第です。
鬼越DAOが最強のネットワーク効果を獲得してバズりまくる未来を見てみたいですね。
おもしろさがネットワーク効果を生む事例
もう一つ好きな事例を共有したいです。
一時期、ジョイマン高木のVRアバターがバズりにバズってました。
https://campaign.showroom-live.com/takagi/
VR上でジョイマン高木のアバターを着て本人になれるVRならではの企画。
なにをいっているかわからないと思うが、まぁとりあえず見てくれ。腹よじれるぐらい笑える。
これはおもしろいから、参加する人が増えて、ジョイマン高木になる人が増えて、おもしろいネタが増えるネットワーク効果が確実に効いていた事例かと思います。
毎週、ジョイマン高木アバターにおもしろ改造を加えて発表し合うコミュニティがあったとかないとか。クラスターでは毎日ジョイマンが元気に走りまくっており、ジョイマンを見ない日はなかったほどだ。
この強力なネットワーク効果の中に、トークンインセンティブによるエコシステムが存在していたのなら、いまもVR空間ではジョイマンが走りまくっていた未来もあったのかもしれない。
まさに、ジョイマン to Earnである。
BitcoinやNFTのように、価値が価格として数字で表されるがゆえに、DAOはトークン設計がー、価値がーという話に終止しがちであるが、おもしろくないDAOに持続可能性は生まれない。
Cryptoの本質はミームである。おもしろいと思う気持ちを無くしてはいけないのだ。
本日は以上です。
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