#180 Substack
最近本の執筆を本格化させているので、過去記事のリライト頑張ってます。
前回記事:[Daily Topics]DeFiで使われるビットコイン需要
解説ラジオ:ラジオで聞くならこちら
English ver:英語訳してくれていた方が電通に転職されてしまいました。つまり、このメルマガを英訳していると電通にい行けるってことです。Help Needed!!
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation !
Fat Protocol理論とはなにか
Fat Protocolとは、Web3.0においてはGAFAのようなアプリケーションよりもプロトコルにこそ価値があるという理論であり、現在ではWeb3.0の特性を表すスタンダードな理論として受け入れられているものです。
少し説明的になりますが、プロトコルとはみんなが利用する時のルールや決まりごとのことです。
既存のインターネットで言うと、TCP/IP、HTTP、SMTP、TLS/SSLなど、私たちが日常的に接っしているが気づいていないものがプロトコルに該当します。これらのプロトコルがあることによって電子メールやファイル転送などの基本的なアプリケーションのインフラが利用できています。
イメージしやすいように補足すると、URLの「www」はWorld Wide Webという世界中の人間が同じルールで通信できるよう整備されたプロトコルの1つです。
仮定の話ですが例えば日本は「xxx」、米国は「yyy」、中国は「zzz」など通信規格が国ごとに別々だと不便そうなことは容易に想像できます。そのため、世界中でみんなが使うものの規格やルールは統一しよう!というものにプロトコルなります。
これらのプロトコルの標準規格は、これまで政府機関、非営利団体、民間企業、学術機関、時にはボランティアで集まったエンジニア達によって策定され、オープンソースとして誰でも利用できるように開発されてきました。
そうして開発されたプロトコルは世界中の人に使われるようになりましたが、貢献した人々が金銭的に報われることはありませんでした。
理由として、Web2.0のプロトコルレイヤーは儲からないからです。下の図を見てください。
Web3.0ではプロトコルの価値が大きくなることを示す「Fat Protocol理論」
縦軸が価値の大きさ、つまりどのぐらいの市場規模かを示しており、左が現在のWeb2.0のインターネット、右がWeb3.0のインターネットを表しています。
前世代の共有プロトコル(TCP/IP、HTTP、SMTP、WWW, etc)は、世界中で利用されるようになり、計り知れないほどの「価値」を媒介していきましたが、その殆どは主にデータとして、アプリケーションレイヤーに集約され、価値の大部分は専有されています。GoogleやFacebookのようなTechジャイアント達を思い浮かべてください。
Web2.0のインターネットではプロトコルレイヤーは公共性が高いけれども、オープンソースで開発されているがゆえに金銭的リターンが少なく、高い給与を払うことができる企業が作るアプリケーションに優秀な人材が集まる構造になっていました。
プロトコルとアプリケーションのこの関係は、Web3.0では反転します。価値はプロトコル層に集中し、その価値の一部がアプリケーションに分配される構造に変化します。
この構造を理解するために重要なのが前節で説明したスマートコントラクトとトークンの2つの概念です。
スマコンで書かれたプロトコルがもたらすコンポーザビリティの革命
前節にて、スマコンは透明な自動販売機だと説明しました。この機能をもう少し分解すると、
購入者がお金を入れる
ブロックチェーン上に売買履歴を書き込む
商品を購入者に渡す
となります。この時、ブロックチェーンはパブリックに公開され、誰でも閲覧可能だが改ざんはできない高いセキュリティを保持した共有データベースとして機能します。
Web2.0とWeb3.0の相互運用性の違い
データレイヤーが共通化されることで何が変わるかを示した図がこちらになっており、Webへのログイン方法が変わります。
Web1.0ではWebサービスごとのサーバーにID/Passが保存されており毎回入力が必要
Web2.0ではGAFAの共通データベースを利用したログインが主流になり少し便利に
Web3.0ではブロックチェーン上のデータを元にログインするのでSNSログインが不要に
利用者はWalletと呼ばれるブロックチェーン上の自分のIDを接続するだけでサービスを利用することができ、サービスごとに個人情報を入力する必要がなくなります。Web3.0になることでプラットフォーマーにデータを取られることもなくなるので、個人情報の流出のような事件は起こりえないのです。
データレイヤーが共通化されることで起こる変化
誰でもスマコン内のソースコードを見ることができるので、飲み物を販売するスマコンをコピーして違う商品を販売するといったことが簡単にできます。これがコンポーザビリティです。
開発者がブロックチェーン上で何か開発しようと思った時に、すでにDBとある程度の機能がパーツとして、たくさん転がっている状態を想像してください。過去の開発者が作ったプロトコルを組み合わせることで、開発工数を大幅に下げることが可能になります。
お金をやり取りするスマコンを組み合わせて簡単にアプリケーションが開発できるこの特徴をレゴブロックに例えて、**「マネーレゴ」**などと呼ばれます。
例えば、AさんがNFTが販売されるたびに自分に10%の手数料が入るプロトコルを開発したとしましょう。このプロトコルがたくさんの人に使われて非常に便利なので、Bさんがソースをコピーして手数料を5%に下げて公開しました。
Bさんの方が手数料が安いので、Aさんのプロトコルを使用していた利用者はBさんのプロトコルを利用する経済合理性が生まれ、サービス開発者も簡単にプロトコルをA→Bに切り替えることができます。まさに、レゴのごとく簡単に付けたり外したりができるのです。 これをWeb2.0のサービスで決済部分を入れ替えるとなると大変です。私は少なくともその退屈な仕事を請け負いたくはありません。
この力がWeb3.0には働くため、スマホのアプリストアが強制的に30%の手数料を取っている。といった状況をWeb3.0で生み出すことは不可能です。
市場はこれほど単純ではありませんが、このコンポーザビリティの高さが市場で成功するための開発コストを削減し、より良い製品を作り、急進的かつ新しいものを発明する強制力が生み出します。
プロトコルが持つこのコンポーザビリティがWeb3.0の開発参入障壁を引き下げることに繋がり、結果として活気ある競争力をもつエコシステムを形成することができるのです。
しかし、オープンネットワークと共通データレイヤーだけでは、インセンティブが不十分で儲からない現状は変わりません。このギャップを埋めるために、機能するものがトークンです。
トークンによるインセンティブの革命
オープンソースの事例としてわかりやすいものが、Linuxです。LinuxはWindowsやMacのようなPCのOSの一種であり、オープンソースとして開発されました。WindowsであればMicrosoftのビル・ゲイツ、MacであればAppleのスティーブ・ジョブズとビジネスとして大きく成功し世の中的に成功者と呼ばれる人物の名を上げることはできますが、Linuxを開発したことでお金持ちになった人物と言われて誰か名前を挙げられる人は中々いないのではないかと思います。
例えば、「世界中の人が無料で使えるインターネットを作る!」という大義掲げたオープンソースプロジェクトがあったとして、その大義は素晴らしいのですが、このプロジェクトは全然儲かりません。
オープンソースであるが故にマネタイズができず、開発はボランティアや寄付などで運用されます。資金を集めて開発を始めたとしても、資金を管理・分配する必要が出てくるのでそこで中央集権的な意志が生まれてしまい出資者や開発者の意向に沿ったものになってしまうリスクがあります。 オープンソースであるがゆえに、収益をプールするための器が存在していなかったのがオープンソースプロジェクトの課題でした。
オープンソースプロジェクトは収益をプールする器を持っていなかった
オープンソースのマネタイズの課題を解決したのが「トークン」です。トークンであれば、中央に管理者を置くことなく当事者間で直接「価値」の交換が可能であり、供給量が固定されているので需要の増加とともに価値が増大していきます。
そして、その成功例がBitcoinです。Bitcoinはソースが公開されたオープンソースプロジェクトでありながらBTCというトークンを持ち、現在は2兆ドルの暗号資産市場を牽引する存在にまで成長しています。
特定の国の法定通貨に依存しない世界共通の通貨が「あったほうがいいな」とは思いつつも、そんな通貨が存在しては通貨を発行する国家の権力基盤が揺らいでしまうためどこかの国が世界共通通貨を開発することは不可能でした。
こういった公共性は高いが儲からないプロジェクトはオープンソースでボランティア的に細々と開発されるのが通例でしたが、オープンソースとトークンが書け合わさることで、ネットワークへの貢献者にはトークンで対価を支払うことができます。そして、開発されたプロジェクトがたくさんの人に使われるようになるにつれてトークンの価値は高まり、トークンの値上がり益を得ようと新しい資本とアイディアがネットワーク内に供給され巨大な経済圏を形成していきます。
実際に、Bitcoinが誕生した初期からネットワークに貢献していたユーザーはBTCの値上がりとともに億万長者の億り人、億り人を超えた兆人となっています。Bitcoinはオープンソースプロジェクトがトークンによって成功できることを示す生き証人となっているのです。
肥えるプロトコル、瀕するアプリケーション
Fat Protocolで重要なのは、今まで「価値」が載っていた部分がプロトコル層に変化する点です。アプリケーション層の成功が、プロトコル層の重要性をより一層高めるため、プロトコルの時価総額はプロトコルの上に作られるアプリケーションの価値の合計よりも常に早く成長します。
プロトコルはスマコンで書かれているため、新しく書いたプロトコルにバグが入っていた場合、修正できないので新しくコードを書くよりもすでに利用実績のあるプロトコルを採用するインセンティブが高まるためです。
そうして、プロトコル層の価値が上昇すると、アプリケーション層の競争をさらに激化させます。参入障壁を劇的に下げる共有データベースが存在しているので、アプリを簡単に作ることができ提供する「機能」は同じでも「いかに使いやすいか」といったUXの違いが差分になっていきます。
Fat Protocolにおいては、アプリケーション層は競争が激しい領域になるが、プロトコルは決まったものが使われ続けることになり、すなわちこれが、トークン化されたプロトコルが厚みを増し(富み)、そのアプリケーションが薄くなる(貧する)ということです。
これは、非常に大きなシフトです。
共有データ層とインセンティブシステムを組み合わせることで、「winner take all」のマーケット構造は変化し、アプリケーション層ではなく、プロトコル層において現在とは根本的に異なるビジネスモデルを持つまったく新しいカテゴリの企業が生まれます。
Web2.0では「競争」で買ったものが価値を独占しましたが、Web3.0では「共創」で価値を共有するようになっていくのです。
Web3.0はプロトコルの元、人類全てが平等な世界が実現される
Web3.0で重要なのは、これらのプロトコルはスマートコントラクトを書くことで誰でも記述することができ、一度書いた改変不能なそのプロトコルを管理しているのは誰でもないということです。
これにより誰が利用しようとも、資産の大小や権力の有無に関わらず人間であれば皆平等に共通のルールが適用されることになります。
少し視点を変えてみましょう。
ブロックチェーンは「分散」だと口酸っぱく言われるものですが、それは言い換えてみると、スマコン化されたブログラムに全権力を委ねた超中央集権型の仕組みです。
プロトコルの前では大統領であろうが偉い人、悪い人であろうがすべからく平等に扱われることになります。すでに権力を持っている人がBitcoinを忌避し、権力を持たない人や途上国でBTCの普及が進むのはこういった背景があるわけですね。
一般的なテクノロジーは 末端の労働者を自動化する傾向がありますがブロックチェーンは中心部を自動化します。ーVitalik Buterin
これはEthereumを作ったVitalik ButerinのCryptoの本質を表した名言ですが、Fat Protocolへの理解を深めることでこのコトバがよく理解できるようになります。
NFT紹介枠
NFT紹介枠を設置しています。頂いたNFTを優先で紹介していきつつ、都度流行りのNFTなども取り上げていきたいと思います。
今週は**itadakimasu-manさんです。**
ゴザリNFTが注目された時に日本のゴザリとして注目されたitadakimasu-manから紹介文頂いています。
2年間毎日更新してyoutubeチャンネル登録者数が123名の無名の人間が自撮り写真688枚をNFTにしたら半日で売り切れ1週間でvolume trade 20ETHになりました。NFTを持っていると$ITDKMSトークンがもらえ、ランチメニューを決めるなどの投票に使えます。世界初の自律分散型人間を目指しています。
Twitter: https://twitter.com/itadakimasu_man
Opensea: https://opensea.io/collection/itadakimasu-man
Webpage:
https://itadakimasuman.herokuapp.com/
存在がmemeなのおもしろすぎますw
ぜひ見てみてください。
NFT紹介枠をやってます。来週の枠も空いているのでここに載せてほしい方は以下リンクからご連絡ください。
過去掲載したNFT紹介枠のアーカイブ はこちらです。
ご連絡
電子マグロオークションは80万円で落札されました!!!
年始のマグロの初競りにあやかって、電子マグロNFTオークションを実施したのですが、最終落札価格が80万円で落札されました。初競りマグロが1,688万円だったので、惜しくも1,600万円足りずということで来年再チャレンジしたいと思います!
メタバース上で販売された初競りの電子マグロNFT、3000Maticで落札される(80万円相当)|銀座渡利のプレスリリース
Gitcoin Grant出してます
のぶめいはGitcoin Grantに2つプロジェクトを提出しています。
■ のぶめいのメルマガのGrant https://gitcoin.co/grants/3422/nobumei-newsletter
■ 広告枠のマーケットGrant https://gitcoin.co/grants/3614/kaleido-decentralized-ad
のぶめいラジオ始めました
このメルマガの内容を解説するラジオを始めました。テキストよりラジオのほうが情報に接しやすい方もいらっしゃるでしょう、ということでメルマガの内容をのぶがめいに説明する形でやっています。stand.fmってアプリでやってましたが、サービスがWeb2すぎるのでPodcastに変更しました。模索中です。
stand.fm:https://stand.fm/channels/616990bdafa93b18fc46b1cd
Podcast:https://anchor.fm/nobumei/episodes/2021NFT-e1c611j
相互リンク枠
■はるか先生の週間NFTニュース
@はるか先生が書いているこちらを読んでおけばNFT関連ニュースはカバーできるのでオススメ