#105 Substack
新調した家具組み立てたり、家の大掃除したりで2日ぶりの投稿になってしまいました。今日は2本立てです。
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation ! Yesterday's article:Insider Issues in Crypto Asset Trading Exposed by Opensea Insider NFT Purchase Issue
WWEがNFT販売に大失敗、ナゼ?
プロレスラーで俳優のジョン・シナは、先月発売したWorld Wrestling Entertainment(WWE)のNonfungible Tokens(NFT)をファンが購入したのは7.4%に過ぎないと述べました。
シナ氏はWWE NFTを、帽子、シャツ、リストバンド、ベルト、タオル、サイン入り写真といった物理的なコレクターズアイテムや、デジタル・コレクターズアイテムとのパッケージの一部として販売していましたが、売れたのはそのうちのほんの一部だったそうです。
失敗の原因としては価格が高すぎたことと、最高入札者以外のNFT購入者に特別な体験が付与されていなかったので、デジタルトレーディングカードにしては高すぎたことではないでしょうか。
この失敗事例を自身の講演で発表できるのはすごいですね。
IPコンテンツとNFT販売の難しさ
IPコンテンツ、いわゆるみんなが知っているアニメや漫画コンテンツのことですが、これが日本にはたくさんあるので「NFTはIPコンテンツと相性が良い」と言われますが中々NFTの導入が進みません。その理由としては以下のような点があるかなと思っています。
■ビジネスの問題
すでに既存ビジネスで収益化できており新しい事を始めるインセンティブが薄い
IPコンテンツは認知があるがゆえに、ビジネスモデルが完成してからの後乗りで勝てる
IPコンテンツのターゲットであるマス層に対して「NFT」を訴求しても購買意欲は掻き立てられない
既存のビジネスがある程度固まっている分、NFTを新しく始めるインセンティブが弱く、後乗りで勝てる実力があるだけにメインどころが登場してくるのはまだまだ先になるでしょう。
また、NFT化したらどれぐらい売上が上がるかを示す提案をすべきではありますが、IP × NFT販売の事例はまだまだ少なく試算が難しいところです。納得できる資料を用意できなければ導入は中々進みません。
逆に、コロナ禍で打撃を受けたファッション業界などはNFT化に前向きに見えます。D&GなエルメスなどもNFT化に積極的ですし、NBA tsがNFTを世界的に広めたように漫画やアニメ以外のところからNFTがマス層に浸透していくのかもしれないです。
■仕組みの問題
IPコンテンツの運営は会社が事業として行っているので、toCに比べ判断が遅い
真剣にやろうとするほど、法務や会計処理が面倒で移行コストが高い
仮にIPコンテンツの運営側にNFT likeなプレイヤーがいたとしましょう。その時に足かせになるのがこの辺です。NFTのトレンドを追う力や技術には詳しくとも企業法務や会計にまで精通している人は稀です。その会社の部署の人間に助けを乞うことになりますが、そこから先はNFT素人です。ブロックチェーンとは、NFTとはの説明から入るため説得コストが熱量の火を消してしまいかねません。
ここはNFTや暗号通貨を扱う会社のためのSaaSなどが開発されていくことで徐々に改善されていくと思われますが、企業の現場だけではどうしても突破できない部分も残っている分野です。
■人の問題
そもそもIPコンテンツの運営を行う会社の中にNFTに詳しい人がいない
今までやってこなかった2次流通、ブランド毀損リスクに対する漠然とした不安
コンテンツファンの無知からくる嫌悪感、「NFTは環境に悪い」など
人の問題も根深いですね。NFTが流行っているからなんとなくやってみて、炎上やIP毀損させてしまえば会社から大目玉を食らってしまいますからリスクを聞くとどうしても尻込みしてしまうのが人間です。
直近ではねんどろいどなどで有名なグッドスマイルカンパニーが発行した初音ミクのNFTが炎上し販売中止になっています。環境問題かと思い見てみましたが、「おれたちのミクがNFTなんてけしからん」的な気持ち悪さを感じました。オタクども自重してください。
グッドスマイルレーシングがレーシングカーのボンネットデザインのNFTアートを販売するも世界中から批判を受け販売中止
NFT = コンテンツの切り売りは超NG
これはIPコンテンツだけに言えたことではないのですが、NFTはそれを持っていることで体験できるNon-Fungible Taikenが非常に重要です。
自分が好きで購入したNFTがその後続々と第二弾、第三弾と販売が続き最初に買ったNFTの資産価値が購入価格よりも減衰してしまったら普通に哀しいですよね。好きで買った気持ちが冷めてしまいかねません。
ゲームで考えればわかりやすく、「歴代最強!」を謳ってキャラを売り出した翌週にさらに強いキャラを実装するようなものです。当然、ゲームは炎上します。NFTも同じです。
NFTは資産性を持つため、IPコンテンツに名シーンなどをNFT化して販売した場合、追加で同じシーンの販売やそのNFTの価値を既存するような行為を運営がしてしまうとユーザーから反感を買ってしまう可能性があります。
そのため、安易にIPコンテンツからNFTを作って販売してしまうとこのようなリスクを内包することになってしまい、後々のNFT企画の足を引っ張ることになりかねません。NFTをやるということは将来のインセンティブ設計までを考えたNFT価値が向上し続けるような仕組みとセットでの販売が重要です。
それこそ、NFTを持っていることでゲーム内でスーパーパワーが得られたり、畏敬の念で見られるような体験とセットが基本になります。そのへんの要素についてはこちらでまとめています。
[Daily Topics]NFTを評価する評価指標とNFTを横比較するためのレーダーチャート
本日は2本立てです。
発行方式がおもしろいNFT「AnonymiceNFT」が誕生し即完
Lootの次を担えるかもしれない新しいNFTプロジェクトが誕生していました。3日ほど前にリリースされ、すでに総発行数の1万体が発行されており、現在の最低価格は4.39ETHです。
このAnonymiceNFTシリーズのおもしろいところはNFTの発行方法にあります。
AnonymiceNFTの特徴をさらっと紹介しておきます。
総発行数は1万体のすべてがユニークなマウス
マウスはスマートコントラクトによってランダムに生成されます。
100%オンチェーン(IPFSやAPIを使わない)、かつ、Generative
ここまでは普通のGenerativeNFTと同じような特徴で、BitblitやNounsと同じですが発行方法が面白いです。
最初の2,000体はGas代のみの無料で発行可能
各マウスはステーキングすることができ、1日あたり1 x $CHEETH(チーズ)を生成できる
1チーズで2,000番以降のマウスを発行できる仕組み
また、このプロジェクトのセカンダリーセールスのロイヤリティは0となっており、あくまでNFTの可能性を探るためのプロジェクトと製作者により位置づけられています
解説していきましょう。
AnonymiceNFTの新しさ①:NFTをステーキングするという概念
ステーキングという概念がよくわかっていない方のために少しだけ解説すると、ステーキングとは「預けて報酬をもらうこと」です。銀行預金と同じですね。現金を預けて、金利をもらう行為だと思ってもらえれば良いです。
AnonymiceNFTの場合は、「ねずみを預けてチーズ」をもらいます。語感が草ですねw、なんども言いたい日本語です。笑
スマコン上にNFTを預けることでチーズを受け取れるようなコードが書いてあることで、製作者やハッカーにNFTを奪われる心配なくNFTを預けることができ確実にチーズを受け取ることができ、NFT保有者はいつでもNFTを取り出すことができます。これがステーキングです。
NFTステーキングの仕組み自体は少し前から実現していましたが、NFTを担保として預けてお金を借りるなどの用途が多く、今回AnonymiceNFTが実装したチーズはそれとは違った用途を示してくれます。
AnonymiceNFTの新しさ②:ステーキングのメリットとNFT発行を組み合わせ
ねずみをステーキングしたことで受け取ったチーズを使って、新しいねずみを召喚することができます。
AnonymiceNFTは発行の仕方がおもしろく、チーズを使わないとすべてのねずみを発行できません。発行の番号が後ろになるにつれて必要なチーズの数が増える仕組みになっています。
#0~1999番:無料でミント化 #2000-3999:マウス1匹のミントに1$CHEETH #4000-5999: 2 $CHEETHで1匹のマウスをミント化 #6000-7999: 3 $CHEETH to mint 1 mouse #8000-#9999: 4 $CHEETH to mint 1 mouse
1万体のNFT発行が終了するまでの売り圧を下げることができますね。チーズは24時間で1つもらえるのでAnonymiceNFTでは速攻で1万体の発行が完了してしまいましたが、これの数を指数関数的に増やしていけば、数百年発行されないNFTシリーズを作ることができます。まるでBitcoinのようですね。NFTマイニングの誕生です。
AnonymiceNFTの新しさ③:burnによるRe-Generativeな要素を追加
ねずみをburnして燃やすことで、新しいねずみを召喚できます。
発行したねずみが気に入らなければ、そのねずみをburnすることで新しいねずみを発行可能です。新しいねずみは手に入りますが、元のねずみは永遠に失われてしまいます。
一般的に、CollectibleなNFTは珍しい特性が組み込まれており、CryptoPunksなどは1万体の内9体ほど宇宙人が紛れ込んでいます。珍しい特徴を持つNFTほど価値が高くなるのが需要と供給の原則ですね。
AnonymiceNFTは珍しい特徴が出るまでRe-Generativeすることができます。これは最低価格で購入したmiceをburnして新しいmiceを発行し、珍しい特徴が出れば高く売れる可能性があるということです。
最低価格でもNFTを買う価値があるとともに、珍しい特徴を全員が出そうとすればするほどに「珍しさ」は陳腐化していきます。発行を繰り返すことで珍しい特徴を持つmiceだらけになってしまえばもはや普通のmiceの方の希少価値が高くなってしまいます、この仕組は面白いですね。
AnonymiceNFTに見るNFT施策の可能性
以上、AnonymiceNFTは以下3点においてNFTの可能性を拡張するNFTシリーズだったと言えます。
NFTステーキングで新しく報酬を受け取れる
受け取った報酬を使用して新しいNFTを発行できる
NFTをburnすることでRe-GenerativeなNFTを発行できる
今回はチーズがもらえるという端から見るとしょうもないモノしかもらえないように見えますが、これを既存のコンテンツなどに応用した場合の応用範囲の広さに気づいていただけるでしょうか。NFTステーキングによってNFT自体の売り圧を下げ資産価値を守りつつ、ユーザーにとってのインセンティブを設計できます。
AnonymiceNFTは手数料を取りませんが、Re-Generativeな要素をユーザーが求めた時に手数料をとっても良いかもしれません。プログラムの自動生成が「ガチャ」に該当し賭博に当たるのかは要検証ですが、いろいろと可能性が見えてきますね。非常におもしろいプロジェクトでした。
本日は以上です。
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