#89 Substack
現在の集権的な権利を持たないものは感情的に分散型に傾倒しがち。どうも、@nobu_meiです。
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation ! Yesterday's article: "Flex NFT" is becoming an item that satisfies the desire for self-expression
Web3.0の世界においてVCはどうやって生き残るのか
Collectivizing Finance(ex PartyBid): Why The Future of VC is Multiplayer — Mirror
界隈ではNFTの一大ブームが到来していますが、高額なNFTは欲しい人がみんなでDAOを作りお金を出し合うことでNFTを共同購入するParty Bidのような事例が出てきています。
この事例は現時点では先進的なものですが、この事例から少し先の未来の話を推測することができます。今日はブロックチェーンの技術を使った分散型VCという存在がどのようなものなのか、探っていきます
今日の話を理解するためにはややDAOやスマートコントラクトの前提知識が必要かもしれませんので、こちらを参照しながら読んでいただけますと幸いです。
[Daily Topics]信用コストを0にするスマートコントラクトを解説
[Daily Topics]Q&Aで理解するはじめての「DAO」
まず、Party Bidのおさらいですが、coffeeさんのメルマガから引用させて頂きます。
#190 NFTに共同入札ができる『PartyBid』とは - by TheCoffeeTimes ☕ - Bspeak! - 暗号通貨/ブロックチェーン
PartyBidは、グループで資金を出し合い、一緒にNFTオークションに入札することができるプロダクトです。誰でもPartyを作成したり、参加してFoundationやZoraのNFTオークションで入札をすることができます。 このPartyBidが先週ローンチしたのですが、さっそくCryptoPunksのNFTに対して、478人が共同で入札し、1218 ETH ($3.3M)が集まり、落札をしました。
高額なものを飼うために誰かにお金を預けることが不安ですが、スマートコントラクトですべてが制御されていれば資金を持ち逃げされることはないので安心して取引できるようになります。Party Bidはスマコンの特性を活かした本当に良い事例です
今回の事例は1つのNFTに対しての共同Bidでしたが、今回の成功により規模や応用範囲が広がってくることが想像されます。例えば、みんなでお金を出し合ってスタートアップ会社に投資を行う。などが考えられます。
現在、スタートアップへの投資はベンチャーキャピタル[VC]の特権的な位置づけになっていますが、スタートアップ企業自身がParty Bidの仕組みを応用して資金調達をした場合、VCも個人投資家も関係なく平等な立場で投資を行うことができます
今回のParty Bidの事例はそうした未来を感じさせてくれるものでした。では巨額のお金を動か貸すことができる既存VC勢と、個人投資家がお金を出し合って集めたVCではどちらがスタートアップにとってメリットがあるのでしょうか?
比較していきましょう
1. 既存VCが抱える機会損失について
まず、既存ベンチャーキャピタルの通常業務は投資家と創業者の間を取り持つ代理店業務です。。VCと聞くと煙に巻かれる感覚になりますが、やっていることは旅行代理店や広告代理店と同じで個人投資家とスタートアップの間の仲介をキュレーションサービスとして提供しています
お金の流れとしては、個人投資家 ⇒ VC ⇒ スタートアップ
へと流れていくことが普通で、逆はありませんでした。
VCは常に個人投資家を顧客として、スタートアップ投資を商品として扱ってきましたが、VC市場では価値が簡単に逆方向に動くことを無視してきました。もしその逆でVCがスタートアップ企業に対して、個人投資家を商品として販売する事例は存在し得ないのでしょうか。
VCが個人投資家に支払う利回り/配当だけでなく、投資した企業の業績に貢献した個人投資家にも追加で報酬を与える場合を想像してみましょう。表面的には、この会社はすべての関係者にとってWin-Winの関係を提供します。
個人投資家:資金を提供するだけでなく、自分の働きに応じて収益性が向上する。また、投資先やVCと共に仕事をすることに特別な動機を持つ者も現れる可能性がある ⇒働き甲斐の提供
スタートアップ:個人投資家の参戦によりリソース拡充され業績が向上する可能性
VC:スタートアップの業績向上により投資成績の向上、さらなる投資資金の獲得に繋がる
しかし、このWin-Winモデルが伝統的なVC市場では難しい面があります。これまでVCにしか提供できないとしていた価値を個人投資家に分け与えることになるからです。個人投資家の権利の拡大により、VCが代理店として間に入る存在意義が薄れていってしまいます。既存のVC組織がこの変遷を受け入れられるわけもありません。
そのため、既存VCはこのキュレーション能力を高め、スタートアップ投資が自分たちにしかできない特別な仕事だとPRし続ける必要がありました。
強力な既存市場が、あえて解決しないことがインセンティブとなっている非効率性からは大きな価値を引き出すことができます。このケースでは、強力な既存企業はベンチャーキャピタルであり、その非効率性は、未公開企業の株式の非流動性や閉鎖的なエコシステムの情報非対称性など、多岐にわたります。
そういった背景があり、個人投資家 ⇒ VC ⇒ スタートアップ
の逆はない市場だったのですが、Cryptoの世界におけるDAO組織の成功により三者三様に利益を得られるwin-winモデルの実現可能性が高まってきています。特に、IPOやDeFiサマーなど、ここ数年の驚異的な富の創出により、個人投資家の中には公開市場以外での利回りを求め、より積極的な投資家になっている傾向があります
Twitterなどをやっていて本当に思うことですが、界隈にいる方々はめちゃくちゃ優秀でお金もある程度持ちその原資を稼ぐに足り得るスキルをお持ちです。どこの会社にいってもエース級の人材がゴロゴロしており、その人材が腕まくりをして貢献できるスタートアップはないかと目を皿にして探している現状があるのでこの流れは加速していくこと間違いないです
Twitterにいる人達のイメージ図(私見)
2. 過去にもそんな仕組みを実現しようとした「シンジケート」ってのがあった
シンジケートは、さまざまなエンジェルの資金を特別目的会社(SPV)にプールし、キャップテーブル上の単一のファンドとして企業に投資することを可能にするグループです。
個人投資家 ⇒ シンジケート ⇒ スタートアップ
というお金の流れは同じなのですが、VCとシンジゲートの違いとしては、案件の流れ方が逆でスタートアップの創業者が条件を指定し、VCに縛られることなく資金調達をすることができます。
■シンジケートの資金調達の流れ
特徴としては以下のような点が上げられ、株の付いてくるクラウドファンディングのようなものと思ってもらえると良いです。
個人投資家は資金の投資先を個人の裁量で自由に決めることができる
個人投資家がスタートアップを支援できるメニューがあればサポートを受けられる可能性がある
個人投資家レベルでは投資できない早期段階から投資できる可能性がある
投資をした個人投資家がスタートアップを支援しつつ貢献に応じて株の方が向上するのでwin-winな関係が築けそうな気がしますが、ここには落とし穴が潜んでいます。
その落とし穴とは、シンジケートのビジネスモデルが投資が決まった案件から手数料を取るビジネスモデルだからです。
一方、個人投資家はシンジケートにリストされた案件しか投資の選択肢を持つことができません。
この構造はシンジケートと個人投資家の間に利益相反の関係を生んでしまいます。
シンジケート:いっぱい投資された方が儲かる
個人投資家:優良な案件にだけ投資したい
結果、シンジケートは投資的にはゴミ案件も色をつけて美味しそうに個人投資家に案件を紹介するようになってしまいます。これでは真にオープンな市場を形成することはできません。
シンジケートはしばしば当事者同士を対立させ、すべての人に不利益をもたらします。シンジケートのリーダーは、手数料収益をより多く得るために、できるだけ多くの案件に必要最低限の投資を行わせ、その中からユニコーンを誕生させシンジケートの先見性を高めようとします。
シンジケートはこのような構造になっているため、専門知識や経験があり、創業者にとって真の付加価値を持つエンジェル投資家は参加しません。情報弱者だけが残すのですね。この辺り、仮想通貨の質の悪いサロンも同じ構造を持っていると思います。
もしRobinhoodが、あなたの利益の20%を取るという条件で、ほとんどが平凡な銘柄の限られたセレクションしか与えなかったとしたら、と想像してみると良いです。日本的に言うと、積立NISAのような限られた案件にしか投資させてくれないくせに、手数料が20%取られる感じといえば伝わるでしょうか。シンジケートのメンバーになるとはこういうことです。
シンジケート型のDAO化による、Work to Asset
ここではDAOの説明はしませんので、DAOがわからない方はこちらを参照してください。
[Daily Topics]Q&Aで理解するはじめての「DAO」
シンジケートの問題点はシンジケートが中央集権で手数料を取っていたために個人投資家と利益相反になっている点でした。これをDAO化することで解決できる可能性があります。つまりどういうことかというと、シンジケートが行っていた仕事を個人投資家たちと共有し、仕事への貢献度に応じた報酬設計を用意することです。
この世界観においては、シンジケートだったメンバーも一個人となり、スタートアップへの貢献に対して報酬をもらう「御恩と奉公」の関係の中で生きていくことになります。こう書いてしまうとスタートアップの権力がかなり強く感じられるのですが、スタートアップ自身も御家人と同じ立場にいます。最初にスタートアップが打ち立てたVisionやプロトコルに魅力がなければDAOに優秀な御家人が移動してしまう流動性がCryptoにはあるので決して特権的な権利とは言えないでしょう。
図で書きましたが、VisionやProtocolが目指すべき世界の実現に向けて、すべてのステークホルダーが平等な立場に並び、それぞれのスキルを生かして貢献し、評価方法や報酬設計が記述されたスマートコントラクトによって人間の介在する余地なく報酬を受け取る形が理想形です。
この仕組はすでにCryptoの世界に存在していますが(Duck DAO、Flamingo、LAO)、それらは一方で真の分散性と優秀なリーダーの独占性との間で様々なトレードオフを行っていることが多いです。少数の偉大なリーダーが決断を下し、他の誰もがそれを支持できるようにするのと、それらの偉大なリーダーが同じレベルで参加する、より権限が分散された構造を作るのと、どちらが良いのでしょうか?
その解決策がプロトコルを最上位においたWork to Asset DAOの仕組みになりますが、各DAOは、メンバーの視点の同質性(仕事への十分な支援を確保するために必要)と、メンバーの視点の異質性(それぞれが互いに学び、得て、互いのアイデアに実りある挑戦をするために必要)のバランスを取るという課題に直面します。これからDAO系のプロジェクトはガバナンスの課題に直面し、その課題を乗り越えていくでしょう。
株式では実現できないが「トークン」であれば実現できるスキーム
株式会社の経済圏においては、VC達の会話の中でしばしば「シード」や「シリーズA」などのコトバが飛び交います。それらのコトバはスタートアップの会社の上場までのステージを示す単語であり、各ラウンドごとに株式会社は適切な投資額をVCから調達し会社を成長させてきた歴史があります。
この投資ラウンドに参加できるのは、VC企業やスタートアップと関係性の深いエンジェルなどのプレイヤーが存在しておらず、オープンではありませんでした。一般の個人投資家は企業の株が証券会社に上場してから出ないと株取引できないので、シードやシリーズ〇〇などのコトバは今までは関係ないコトバでした。
ですが、トークン化によってマルチプレイヤーの投資が可能になり、これまで不可能だった開発の加速や成功の可能性が高まってきています。
以下の図式化しましたが、プロトコルが発行する「トークン」を購入することで個人投資家であろうともスタートアップが作るプロトコルに貢献できる環境が整ってきています。
図で書いてみましたが、個人投資家はトークンを購入することでどのラウンドであろうと「貢献」することができるようになり、いつでもトークンを売却することができるので、リスク管理を行うことができます。株式であれば上場するまで途中で売却するということは実質難しいので、流動性を高めている点で見てもトークンは株式の上位互換を見ることができます。
さらに詳しい解説はこちらでしています。
[Daily Topics]トークンは株式の上位互換、コンテンツのトークン化によるDAO経済圏へ進む世界
DAO化されたプロジェクトはトークンによって、貢献の機会がオープンに開かれました。トークンを購入した者同士でコミュニティが形成され、そのコミュニティの中でVCやシンジケートなど関係なく一個人としてどういった貢献ができるのか考える必要性が出てきています。
このような仕組みの中においては、従来のようにプロジェクトとコミュニティがVCに従うのではなく、VCがプロジェクトとコミュニティに従わなければなりません。つまり、VCは譲歩を引き出す力を放棄し、コミュニティの他のメンバーと同じ条件を受け入れるチームプレーヤーにならなければならないのです。
その傾向はすでに現れています。SushiswapのNo VC NoLife的な議論がそれですね。この辺りの動向はykさんのメルマガが非常に詳しく解説してくれているのでおすすめです。
コミュニティの中の議論がプロトコルをより良いものにしようと団結していることは素晴らしいです。この団結力はトークン化によって生まれました。そして、コミュニティができたのです。Web3.0が未来だとすると、投資の未来も3.0だと考えなければなりません。そしてWeb3では、マルチプレーヤーによる投資がデフォルトとなります。
本日のメイントピックは以上です。大企業のなんちゃってVCの存在意義が問われていく時代になりそうです。VCの方々の意見も是非聞いてみたいです。
Discordでコミュニティ開きました
招待リンクはこちら(リンク切れしてたら教えてください)
■メルマガコミュニティに参加する特典
月1ぐらいで質問会を開きます
そのうちNFTを発行するので、参加者にAirdropするよ
のぶめいが気になったけど、メルマガに書ききれないCrypto関連のNews Feedを流します
執筆中の本の途中経過を公開します⇒[Daily Topics]のぶめいは本を書く
今日の広告枠
今日の広告枠はCryptoメディアのCRYPTO TIMESさんにご購入頂きました。
CRYPTO TIMESさんはCT Analysisという無料レポートを何本も公開されている優良メディアです。私もこのメディアを紹介できて嬉しいです。特に、Axieに関するこちらのレポートは本当に分かりやすくて知人にも何回も紹介していますのでぜひ見てみていただければと思います
『Axie Infinityの概要と動向の調査レポート』を無料公開 | CRYPTO TIMES
他にもたくさんのレポートを公開されているのでこちらを参照してみてください(参照リンクはこちら)
[Daily Topics]【実験】メルマガ広告枠をNFT販売開始、広告枠をNFTとしてスマコンで取引する未来はありえるか
広告枠はNFT化されているので、Openseaでオファー可能です。希望者はこちらからどうぞ。(SubstackはOpenseaのリンクを弾くようなのでNotionでご覧頂くか、@nobumeiまでDMください)
今日のネタ枠
真面目な話ばかりでもつまらないので息抜きにネタ枠を用意しています。
麻生太郎が絶対に仮想通貨の税制を変えない&取引所を締め付ける理由。
過去の太郎ちゃんの発言が話題になっていましたね。株を買わせたいから仮想通貨を優遇しないということですが、このご時世で日本の株なんて買いたいやついるのか?
そして、金融庁が声高に叫ぶ「消費者保護」の観点からすると、日本国で仮想通貨取引している時点で税金が株よりも不当に多く取られる国によるScam行為が跋扈してますが身内Scamは適用対象外なんでしょうか
国民はすべての資産に投資する権利を平等に持つので、この権利侵害、他国から見た時の消費者保護の観点からロジックを崩すことができるような気もしています
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今日のニュース
BTC関連
トレードをする方に読んでもらいたい教科書が出てました。私は投資中のメンタルを重視するのでほとんどトレードしませんが、興味のある方は読んでみると良いです
dApps / NFT
いつもの。これでMECE確認してます。
NFTでニュースペーパー@EasyEatsBodega 📰50部限定。既存の別NFTのホルダーにdropも。
新聞の購読券を持っていれば、今日の新聞がWalletに投函されるそんな未来が見えました。このメルマガの行き着くスタイルはそこかもしれません。今日のニュース枠はこんな感じにしようかな。あ、それいいかも。
BAYC, 「より大きなストーリー性のあるものを作りたい」という創業者たちの思い
BAYCにはストーリーがあると言われますが、その辺りのBAYC創業者のコメントなどが載っています
GameFiが流行っている理由についての考察スレッドです。非常に納得のいくものだったので紹介させていただきます
DeFi系から入ってきた人の視点から見ると、GameFiはNFTがエコシステムの中に入っているので資産をプロトコル上に留める機構を提供しているという点は目鱗でした
メタバースはインターネットに代わって台頭するオンラインコミュニケーションの場
メタバースの話が出たときに、『仮想現実が現実に取って代わることはない!』と反論を受けることがありますが、このように考えるとあくまでコミュニケーション形態の1つだから好きな人はこっちを使うだけだよね。という整理ができるのではと思いました
Opensea, AIを使ったNFTの著作権侵害対策に乗り出す
OpenseaがAI画像検索でパチもんの摘発に乗り出しました。パチもんでも価値があると思って買っている商品が「これパチやで」とされると資産価値がガタ落ちなのでデリバティブNFTとパチもんNFTの線引がAIでできるのかが難しいところですよね
その他
a16z の歴史について @AcquiredFM のPodcast
おもろい!
はい、本日は以上になります。
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