#201 Substack
気づけば2022年も折り返し地点をすでに過ぎており、ビビリ散らかしております。
前回記事:
解説ラジオ:ラジオで聞くならこちら
本日のメイントピックス
CoinGeckoから2022年Q2のレポートが出ていました。本レポートが現在の仮想通貨市場を外観する上で最も優れていると個人的に思っているので四半期ごとに定点観測しておくことは重要です
https://www.coingecko.com/learn/q2-2022-cryptocurrency-report
年初レポートも参考に
Crypto市場の定点観測
まずは市場全体の勢いの確認です。暗号通貨TOP30銘柄の合算を市場規模と見立てた時に、2022年Q2は-55.9%で推移しました。年初は市場規模3兆円を越えようかと言うほどの勢いであったのに対し、現在は1兆円を下回ってしまう乱高下具合です。
Terraの暴落を皮切りに始まったこのダウントレンドは未だ続いており、相場の回復にはまだまだ時間がかかりそうな見込みですが、総取引量はあまり変化がないので退場した人は少ないのではないでしょうか。市場にプラスの材料がいくつか出てくればスッと回復しそうな予感がします
。
続いて、市場のBTCシェア率を見ていきます。
暗号通貨は基本BTCに連動した価格推移を取りますが、それはBTCの市場シェア率が高いために起こる現象です。BTCのシェア率が高ければ他の暗号通貨の価格も連動しやすく、低ければ連動しにくくなります。暗号通貨市場は最近Web3.0市場へと名前をリブランディングしましたが、この市場が成熟していくに従ってBTC以外のエコシステムが成長しBTCのシェア率は下がっていくと考えられますので、BTCのシェア率を私はいつも楽しみに見ています。
TOP30銘柄の市場シェア率はBTCが46.8%、ETHが16.3%とQ2を通してあまり変化のない結果となりました。変化があまりないグラフとなりましたが、強いて言えばETHのシェア率が下がっていますが、これはETH2.0とのマージの件やstETHの件がありETHの信用がやや揺らいだためでしょうか
。
Q2を通して見ると変化がなかったシェア率ですが、2021年1月はBTCシェア率が70%を超えていたことを考えると、1年半でBTC以外のエコシステムが20%程度成長したことになります。
成長した主な銘柄はUSDTやUSDCのようなStablecoin系です。DeFiが伸びてきており実需が成長してきているのでStablecoinの需要もうなぎのぼりといった感じですね。そして、逆にETHのシェア率は下がりました。早くマージしてくれ!
一応、Ethereumの今後のロードマップも持っていたので載せておくね
。
また、このメルマガではまだ取り上げていないEthereumのマージに関する話ですが、正直まだ自分でちゃんと説明できる気がしないのでまだ書いていないだけです。
この界隈にはかしこな人たちがいるので、そちらの動画を見て理解を深めましょう。やさしくないのに「やさしいDeFi」と名乗っている最高にサイコな先輩方がやさしく教えてくれる動画です。
余談
いつもはBTCの投資成績を貼り付けてドヤ顔するためのグラフなのですが、Q2に関してはBTCの一人負けでした。笑
耐えよ同士たちよ
!
Stablecoin市場
シェア率が高まったStablecoin銘柄を個別に見ていきます。市場全体で見ると、Q2は-18.3%のマイナス成長となりました。つまり、Cryptoから法定通貨に資金がそれだけ逃げたということです。Terraショックによりきれいに10%ほどの市場規模が吹き飛んでいることがグラフからよくわかります
。
そして、Stablecoin市場の変わらない傾向として、USDT→USDCへのシェアの移動がQ2でも見られます。一番最初に市場に参入した先行者優位を持つTether社のUSDTと、後発だがCoinbaseとCircleの後ろ盾を持つ堅牢なUSDCのシェア争いはUSDCが少しずつシェアを奪う結果となっています。
この傾向は、Terraショックがあったことでより安定性を求める方向に動く可能性が高く、先日USDCの担保資金の内訳も公開されていたので、USDCの運営は中央集権でありながらも透明性を持った運営を行いStabelcoinの信用回復に舵を切っていくものと思われます。
DeFi市場
DeFiの時価総額は、他の暗号通貨市場とともに、3ヶ月間で1420億ドルから360億ドルへと大きく減少した。
DeFiの時価総額の多くは、Terraショックがこれらの資産をサポートするプロトコルとともに一掃されたことによって消滅した形となりました。特に、パニックは他のステーブルコインにも広がり、USDTや他のアルゴステーブルコインの大量償還につながっています。
それに加えて、DeFiのエクスプロイトは第2四半期に増加し、InverseやRariなどのプロジェクトに影響を与えている。これらの攻撃は、投資家がこれらのハックされたプロトコルへの信頼を失うにつれて、トークン価格に悪影響を与えています。つらみ。
DeFiと一口に言ってもEthereum上のものなのかそれ以外のものなのかで異なるため、DeFiのシェア率も定点観測しておくべきです
。
2022年Q2には、AltCoin勢が縮小し始めたことで、EthereumはTVLの優位性を取り戻した形になりました。EthereumはTVLのシェアを54%から60%に増やしています。
Avalanche、Polygon、Solanaは、全体的な市場の低迷と一致しているものの、それぞれのTVLシェアを維持している点、確実に成長してきていると言えるでしょう。中でもTronのシェアが伸びてきていますね。TronのTVLは$4.8Bから$3.9Bに減少したが、TronのTVLシェアは2%から6%に3倍、これは主にアルゴステーブルコイン(USDD)のローンチによるものとのこと。
NFT市場
みんな大好きNFT市場はQ1に比べると減少傾向。JPEGの売買で気持ちよくなれる市場がおかしかったとみんな気づき始めたのかもしれない。Axieの低迷により一斉を風靡していたRoninが沈み、エコシステムはEthereum一強状態が続いていますが、SolanaのMagicEdenが成長してきた影響でSolanaが元気です
。
マケプレはあいも変わらずOpenseaが強い。
LooksRareも登場時は黒船来たかと思いましたが、Q2は鳴かず飛ばずでしたね。しかし、5月と6月には、Magic EdenとX2Y2が追いつき、OpenSeaの毎日、さらには毎週の量を次々に追い越すようになってきています。X2Y2などの分散型マケプレも頑張って欲しいです
。
分散型マケプレについて
Q2はSTEPNやゴブリン、うんこなど、従来のPFP文脈とは異なる、というかアンチテーゼ要素の濃いNFTブランドが大流行しましたね。個人的にはQ2あまり祭りに乗れなかったので積極的に踊っていかなければメルマガネタが無くなってしまうなと思ったQ2でした。
2022年Q2のメイントピックはTerraショック
2022年Q2といえば、これだよね。の話題は全会一致でコレでしょう。Terraショックです。
1ドルにペグするはずのStablecoinであるUSTの価格は結果的に-95.7%を記録し無担保型Stabelcoinの醜態を晒すこととなってしまいまし
た
一応、なにが起きたかを整理しておきます。
5/1-5/5、LUNA高騰の立役者であるDeFi「Anchor」が過去最高TVLを記録
5/7-8、市場の低迷し、暗号通貨が下落。ペグは外れ0.98ドルまで下落したもののこの時は耐えた
5/9、USTのペグは長く続かず、パニックになったUST保有者は売り加速。0.60ドルまで下落したところで崩壊は決定的なものとなり、以降永久に崩れていくことに。
5/12、Terraブロックチェーンは、LUNAの価格が急落した後に停止され、ネットワークのセキュリティが脅かされる事態に
5/16、FounderのDo Kwon氏はTerraをフォークし、現在のチェーンをTerra Classicに改名することを提案した。USTは切り捨てられTerra 2.0が誕生
5/28、テラ2.0が打ち上げられ、デペッグ時にUSTとLUNAの保有者にエアドロップが配布された。
そしてこの新しいTerra2.0がどうなるかはまだ誰もわからないのだ。(怖い話)
Terraショックの影響
様々な投資家の大きなグループが3AC(スリー・アローズ・キャピタル)に投資していたが、残念ながら、彼らもテラの死の犠牲者となりました。
資金の流れと影響を受けた関係性がわかりやすく可視化されています
。
事の顛末としては、みんな3ACにお金を貸しすぎ、3ACはTerraに入れすぎた結果資金が回収不能になった。というシンプルなものです。先日連鎖破産した仮想通貨企業Voyagerは6月22日に、3ACへの貸付が約650百万ドルであると発表しています。これは彼らの融資残高の約58%に相当し、ほとんどが無担保で貸し出されました。それだけ、3ACに信用していたということですが、100%失敗しない人間はいないので揃ってお亡くなりとなりました。
事の詳細はこちらに書きました。
各事業者に及ぼした影響についたCoinGeckoレポートのこのページ、内容もさることながら背景が面白すぎる。このレポート書いてる人楽しかっただろうな。と想像できる一枚です。
所感
2022年Q2はこれまでの景気の良かった市場からすると恐ろしい下落相場でした。新しく参入した初心者を焼き殺し、古参勢の肝を冷やし暗号通貨市場の恐ろしさを思い出させてくれました。Q2と比べると、Q1は嵐の前の静けさでしたね。なぜあの時に利確しておかなかったのか、本当に悔やまれます。(泣)
それもこれもTerraのせいです。と言いたいところですが、これは星のめぐりでTerraでなければ誰かが引き金を引いていたでしょう。4年前はそれがたまたまCoincheckであっただけです。むしろ、今回の暴落が日本発でなかったことに感謝すべきでしょう。
暗号通貨投資を行っている我々は、世間一般からは「楽してあぶく銭を儲けているずるいやつら」と思われているので、相場が暴落するとメディアがこの市場の悪い部分を書き立て、「ざまぁ」と煽ってくるものです。それが今回の暴落では前回ほどはなく、日本市場は平穏そのもの、私はおかんから「BTC大丈夫?」とLINEが来たのみです。
NFT市場も日本はHotであると感じています。ある意味、NFTはFTに比べ流動性が低くコミュニティ内に入ってしまうと外が見えにくく相対的に価値が落ちていても気づきにくいという面はありますが、日本のNFT市場は世界トレンドとは異なりガラパゴス化しているように感じます。最近はMEGAMIのmintも始まりましたね。普通に欲しい。
これらの現状を踏まえると、相場は下がり冬の時代がやってきましたが、今回の冬は前回の「極寒」とは異なる「暖冬」です。Web3.0の革新性に気づき参入してくる起業家の数も増えていますし、政治家の方も税制や規制を変えていこうとやる気になっています。
そういう意味では、Web3.0やメタバース、NFTなどのバズワードが溜め込んだ欲望渦巻くどす黒い過剰な期待のみを吐き出して、Web3.0の未来を信じる人がちゃんと残った状態と言えるのではないでしょうか。このタイミングでルールを整え、地道に開発ができれば次のBTC半減期のタイミングで大きくジャンプすることができるでしょう。
下落相場こそ、BUIDLにとって最高の時期です。
思ったのですが、CoinGekcoのカエルとこのカエルたち似過ぎじゃないかな。
勉強会の宣伝
AstarJapanLabの活動の一環で、19日13時@zoomにて無料勉強会を開催します。Astarについての話もあるのですが、電通の星野さんに先日NFT Summitで話してもらった「大企業がWeb3.0に参入するために」というテーマで勉強会をやってもらいます。
無料で電通さんの講義聞けちゃうので、時間が合えば参加しちゃいましょう
。
日時:7/19日(火)13:00~14:30 場所:Zoomにてオンライン開催 zoomにて開催
zoomリンクhttps://zoom.us/j/99781186373?pwd=OGgrVCtZZjYvYUpVaVhQVEhtK1MrZz09
ミーティングID: 997 8118 6373
パスコード: 074235
■ 当日のアジェンダ
Astar Japanについて@nobumei(10分)
Astarについて:Astar / shunP(20分)
企業がWeb3に参入するには:電通 / 星野さん(50分)
質疑応答(10分)
奮ってご参加ください!
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のぶめいラジオ始めました
このメルマガの内容を解説するラジオを始めました。テキストよりラジオのほうが情報に接しやすい方もいらっしゃるでしょう、ということでメルマガの内容をのぶがめいに説明する形でやっています。stand.fmってアプリでやってましたが、サービスがWeb2すぎるのでPodcastに変更しました。模索中です。
Podcast:https://anchor.fm/nobumei/episodes/2021NFT-e1c611j
stand.fm(もう更新しない):https://stand.fm/channels/616990bdafa93b18fc46b1cd
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