#140 Substack
ライセンサーの無知がコンテンツを殺す未来が見えるのぶめいです。
前回記事:[Daily Topics]DAOで働くってどういうこと? | DAOの人材ニーズと報酬メカニズムの紹介記事
解説ラジオ:ラジオで聞くならこちら
English ver:What is the form of a corporation in the Web 3.0 era, when DAO has become the norm?
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation !
本日のサマリ
NFTをライセンスビジネスの延長線で考えるとやばいかもしれない
トークンは株式の上位互換、資産性を持つのでライセンスとは根本的に異なる
ライセンスを付与するということは株発行券を第三者に分け与える事と同じ行為
第三者がNFTを発行し続けた場合、ユーザーの資産は無限に希釈されコンテンツは死ぬ
将来的な運営のDAO化を見据えていないのであれば、コンテンツのNFT化はやめろ
それでは本編です。
NFTをライセンスと同じように考えてるホルダーはやばい
ライセンスとはアニメやゲームのようなコンテンツを使ってビジネスを行う際に事業者に付与される利用許可証のことです。
ライセンスビジネスに関してわかりやすい図があったので貼り付けておきます。
ライセンスというと馴染みが無いかも知れませんが、権利ビジネスの総称と思っておけばよいです。世の中的には、ドラえもんやポケモンなどのコンテンツの映画化権やゲーム化権を様々な事業者に販売することで収益を得るビジネスモデルのことを指します。
ファンが多く集客力のあるコンテンツであれば、事業者はそのコンテンツとコラボすることで商品の販売を促進することができるので喉から手が出るほど欲しい権利になります。
最近でいうと、「鬼滅の刃」があらゆる商品とコラボしていましたね。だいぶイメージついてきましたでしょうか。
今日はこのライセンスビジネスの延長でNFTを考えると、将来的にコンテンツが死ぬかもね。という話をします。
トークンは株式の上位互換、NFTは資産性を持つ
このパートは以前にも書いていますが、内容割愛して記述します。
[Daily Topics]トークンは株式の上位互換、コンテンツのトークン化によるDAO経済圏へ進む世界
トークンは株式と同じ性質を持っています。
例えば、新しくプロジェクトを立ち上げたい場合、何をするにもお金が必要です。トークンがなかった現在の経済モデルでは株式を発行し株式会社を作って資金調達するのが一般的でした。
株式を発行するためには、証券会社にお願いする必要があります。そのために、様々な書類や登記資料を用意し、膨大な時間と大量の説明資料、過去の実績を証明する必要があり非常に面倒でした
トークンはこの株式の発行を誰でも簡単にできるようにした株式の上位互換です。
もちろん、過去実績や利用用途が無いと価格はつかないのですが、私も自分でnobumeiトークンを独自に発行できる程度には簡単です。
仮想通貨やNFTはその発行者の株式と同じ機能は持ちつつも、証券会社を介さない個人間の直接取引を可能にしました。これにより、ユーザー行動のインセンティブとしてトークンを渡すという施策を打つことができるようになり、ユーザーにコンテンツを応援する内発的動機をもたせることが出来ます。
この内発的動機を生み出せることがトークンを簡単に配布できる点が革命的です。
例えば、みんな知っているNintendoは株式を発行していますが、その株式を持っている投資家は全員がNintendoを好きなわけではありません。一方、トークンであればNintendoのゲームを遊んでいるユーザーに報酬(ログインボーナスや購入者特典)としてトークンを付与することができます。
すでにNintendoのゲームを遊んでくれているユーザーなので、トークンが配布されるのは熱狂的なNintendo or ゲーム自体のファンです。配布されたトークンはこのゲームを遊ぶユーザーが増えて需要が高まるほど価値が高まるので、トークン保有者の友達や家族を誘う内発的動機が生まれます。
この時に株式と大きく異なる点はユーザーの熱量です。お金を出しているだけのユーザーと実際に遊んでサービス良さを分かっているユーザーとでは、圧倒的に熱量が異なります。
この熱量の高さをネットワーク効果としてプロダクトの成長に活かすことができるので、トークン保有者同士で熱狂的なコミュニティが生まれます。これがNFTコミュニティの熱量が高い理由です。少し抽象度を上げて考えれば、BTCも、デジタルゴールドとして、一つのトークンエコノミーを形成しています。
以上、この章ではトークンは株式と同じ資産性を持つことを説明しました。株式と同様に、トークンの総流通量をコンテンツの時価総額と見立てることができます。
次の章ではNFTグッズを販売する権利をライセンスとして販売する場合を考えます。
NFT化ライセンスを付与する行為は株発行券を渡す事と同じ
NFT化権をライセンスを同じように販売するとやばいことになります。このヤバさがわからない方は「株式発行券を第三者に渡した株式会社」を想像してください。やばくない?
証券会社で購入可能な任天堂の株はライセンス権を付与されたゲーム会社がゲームごとに株を何枚も発行していきます。株の供給量が増えるので、株の価値は毀損されていきます。ゲームがおもしろくて人を呼んできてくれればよいですが、ライセンスは複数のゲーム会社に付与されています。もうカオスです。株は刷られまくり、株の価値は激下がりしていきます。
というか、会社の経営戦略に直結する株式の数量をコントロールさせる権利を外部に外出ししている時点でまともな会社経営はできないでしょう。
コンテンツホルダーがNFTをライセンスビジネスの延長で考え、NFT化権を販売すれば良いものと考えていた場合、これと同じことが起こります。
①NFT化権をライセンスを同じように販売した場合
現在のゲームなどと同じ構造ですね。FIFAとウィイレの両方が存在するサッカーゲームのような様相を呈してきます。ゲーム間同士の互換性もお互いのゲームが提携などしない限りないでしょうう。ユーザーはコンテンツに触れたいのに、複数のサービスが有りその中のNFTは互換性がない。これではせっかくNFTを使う意味がわかりませんね。
また、こうなってくると発生するのが詐欺案件です。同じキャラクター名のNFTがAとBそれぞれで発行された場合、名前は同じだけどゲーム内容によってNFTの価値が異なる商材が発生します。
「ゲームAのピカチュウを買ったつもりだったのに、ゲームBのピカチュウが送られてきて1ETH損した。」このような事件が頻発するでしょう。ピカチュウの事が嫌いになりそうです。
本来の正しい形で言えば、コンテンツホルダーがNFTを発行しゲーム側がそのNFTを組み込むことで集客が見込めそうであればゲームに組み込むという形が理想です。Lootのような活用方法ですね
[Daily Topics]NFT活用にボトムアップで革命をもたらすLoot (for Adventurers)ってNFTが界隈で話題
以下のような図の形式であれば、NFTの利用用途は増え、NFT自体の価値が増加しNFT発行の権限はホルダーが持つので、コンテンツの時価総額は上昇しやすい構造になります。
②コンテンツホルダーが直接NFT化したコンテンツを販売した場合
しかし、わたしの予想ではNFT化権をライセンスとして販売するコンテンツホルダーが出てきてしまうのではないかなと思っています。
なぜなら、将来的なNFTの時価総額を高めていく、コンテンツ運営をDAO化していく概念を理解している人間は圧倒的少数で、短期的な売上で見るとライセンスを複数社に販売したほうが利益が出るからです。
■ 各社のインセンティブ
コンテンツホルダー:自社保有ライセンスをたくさんの事業者に販売したほうが儲かる
事業者:ホルダーからライセンスを貰えれば自社コンテンツに人を呼べて儲かる
仮に事業者がこの事実に気づいていたとしても、ライセンス獲得前にこの話をコンテンツホルダーにしてしまうとライセンス獲得までの話が難航し時間がかかってしまいます。ライセンス交渉はさっさと終わらせて早く販売を開始したほうが先行者優位を取れるインセンティブが働くのですね
せっかくライセンスを手に入れられそうなのに、コンテンツホルダーが直接NFT化して誰でもNFTを使えるよう誘導する事業者はいないでしょう。現在のライセンス型ビジネスに慣れた関係者たちの中から②のパターンが実現することは難しいのです。
コンテンツのNFT化は将来的な運営のDAO化を見据えているか
ライセンス型でNFT化権を販売する行為は、ただのコンテンツの切り売りです。短期的な利益を獲得するために放出したNFTによってコンテンツの時価総額が下がり自滅するでしょう。
これまでとこれからのコンテンツとファン、運営の関係性を示したのがこちらの図になります。
これまでのコンテンツとファンの関係は、コンテンツ側からファンに対し体験や物品を提供し一方的に消費してもらうのがコンテンツ消費の形でした。応援と書いてあるのはイベントに参加したり、グッズを購入したりする行為を指します。ファンは運営が用意したコンテンツの楽しみ方のリストの中で精一杯消費し楽しんできたのが今までです。
ですが、一度コンテンツがNFT化されると右側のような構造に変化し、運営もコンテンツの時価総額をあげていくためのファンの一員として機能するようになります。今まで、コンテンツはライセンスを持つ運営のものでしたが、NFT化することにより運営主体のいないDAOに近づいていくことになります。
ここで発生する動きとしては、ファンから**「コンテンツの価値をあげたいから〇〇なイベントをやらせてくれないか?」**という運営に対する提案が発生することです。運営が下に降りたと表現するよりも、ファンに株式を配ったことによってファンが運営に参加できるインセンティブが出てきたと言ったほうが良いかも知れませんね。
この運営が元々持っていた権利をNFT化することによって、手放す。という行為がコンテンツホルダーからすると死ぬほど怖いはずです。だって、それで今まで食ってきてたわけですから。この話を全て理解した上でNFTを発行してもらうことはかなり難易度が高いです。
権利関係の処理は複雑ですし、会社は組織なのでNFTを知らない人もいます。説明コストとして数千枚の説明資料が必要になるでしょう。日本のコンテンツホルダーからNFTのイケてる事例はしばらく出てこないだろうと考えている理由です。
コンテンツホルダーがこの事実に気づいてくれることを願っています。
■Chilizファン・トークンの累積出来高が400億ドルを突破
コンテンツごとの価値は、発行しているトークンの時価総額としてこのように比較されていきます。コンテンツホルダーが一括でNFTを発行しないライセンス型でNFT化権を販売した場合、コンテンツの時価総額がどうなっていくのか日本のコンテンツビジネスに注目していきましょう。
A Great Fat Greasy Chiliz CHZ Dog
本日は以上です。
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NFT紹介枠
NFT紹介枠を設置しています。頂いたNFTを優先で紹介していきつつ、都度流行りのNFTなども取り上げていきたいと思います。
今週はmarimoさんが作ったIndustrial Revolution - momentsです。
過去の産業革命と現在AIやBlockchainによって起こっている情報革命、二つのの革命が時間を超えて重なり合う様子を表現した作品です。
marimoさんはアートやクリプトでいろいろな活動をされている方ですが、VJ(Video Jockey)のプロでもあり、音楽やダンスに合わせた映像作品を制作・演出されています。 そのmarimoさんが VJ 用につくった映像作品を NFT 化したものが“Industrial Revolution” となっており、元が 6 分間の映像を、11,250 枚のフレームに分割して、9 枚のフレームをまとめて 1 つの NFT にした作品となっています。
作品の詳細リンク:https://cryptoart.tokyo/ndustrial-revolution/
技術協力されたAraさんの解説:複数の画像を持つ NFT をどう創るか
ぜひご覧ください。
NFT紹介枠は常に募集しています
NFT紹介枠をやってます。来週の枠も空いているのでここに載せてほしい方は以下リンクからご連絡ください。
過去掲載したNFT紹介枠のアーカイブ はこちらです。
今日のネタ枠
<aside> 💡 真面目な話ばかりでもつまらないので息抜きにネタ枠を用意しています。
</aside>
スペースX、月探査衛星「ドージ・ワン」を打ち上げへ…史上初めて暗号通貨で決済 | Business Insider Japan
犬の王、イーロン・マスクが犬を打ち上げようとしています。スケールでかすぎて草
イーロン・マスクがCEOを務めるスペースXが参画するミッション「ドージ・ワン」は、暗号通貨の「ドージコイン」で資金を決済し、2022年初頭までに実施される予定だ。
スペースXのファルコンロケットを使ってキューブサット(小型人工衛星)を月の軌道に送り込むというこのミッションを、ブロックチェーン企業が行うことになったとコインテレグラフが報じている。
ドージ・ワンは、暗号通貨の新たなユースケースを示しつつ、月へと向かう。
ご連絡
のぶめいラジオ始めました
このメルマガの内容を解説するラジオを始めました。テキストよりラジオのほうが情報に接しやすい方もいらっしゃるでしょう、ということでメルマガの内容をのぶがめいに説明する形でやっています。stand.fmってアプリでやっているのでフォローしておくとLIVEで聞けるかもしれないです。
https://stand.fm/channels/616990bdafa93b18fc46b1cd
求人枠
求人枠を設置しました。
音声透かしNFT開発サポートスタッフ募集
寿司職⼈の技術をNFT化した「SUSHI TOP SHOT」 音を使って配布|銀座渡利のプレスリリース
先日、開催された音でNFTを配信する斬新な企画を汎用的なソリューションとすべく銀座渡利さんで企画・開発スタッフを募集しています。音でNFTを送ることができるのでYoutubeやライブなどの視聴行動を変えることなくユーザーのWalletに自然にNFTを配布することができます。
音声透かしNFTの仕組みや可能性については以前にも紹介しているのでこちらを見ていただき、興味のある方はTwitter DMにてご連絡ください。
[Daily Topics]音声透かし × トークンの活用方法
[Daily Topics]SUSHI TOP SHOT, 音で寿司を届けるイベントの新しさを解説
■求めている人物像
企画系:NFTへの理解、トークングラフを理解している、PMの経験など
開発系:開発経験、時間がある方(開発サポートとしてなんでもトークンさん付きます)
IPコンテンツのアイコンNFT販売サービス「iconee」メンバー募集
2021年冬、NFTアイコンメーカー『iconee(アイコニー)』をリリース
先日、iconeeのリリースが発表されました。これはアニメや漫画などに出てくるキャラクターのアイコンをNFT化して販売してくれるサービスです。もうすぐTwitter NFT認証機能が実装され、アイコンに設定できるNFTの価値が高まることが予想されるので、それに先んじたサービスになります。詳細はリンク先をご確認ください。
iconeeプロジェクト"2nd member"募集!【Twitter - NFTアイコンメーカーiconee】
このサービスが広報・マーケ系のメンバーを募集しています。このiconeeはDAO(分散型組織)で運営されており、興味のある人が自分のできる範囲で仕事を受けてサービス運営をしています
[Daily Topics]Q&Aで理解するはじめての「DAO」
チームは分散型で運営されていますが、参加者のモチベーションがフルMAXなので、開発速度が爆速で毎日驚きに満ちています。自分に何かできることあるかなという方も「DAO」で開発されるサービスを一度見に来てもらえると「Web3.0」の世界感を感じでもらえるのではないかなと思います。ぜひ遊びに来てみてください。
メンバー希望、Discord覗いてみようかなという方:https://discord.gg/CwxSSVxD8R
コンテンツホルダーの方:https://iconee.io/lp/ より問い合わせください。
相互リンク枠
■はるか先生の週間NFTニュース
@はるか先生が書いているこちらを読んでおけばNFT関連ニュースはカバーできるのでオススメ
最新の週はこちら:
過去アーカイブ含めた一覧はこちら:https://nftnews.jp/weekly-nft-news-list/
今日のニュース
BTC関連
GOXの語源にもなったマウントゴックス事件で被害にあった方々への弁済が確定したようです。良かったですね。
dApps / NFT
日系にもNFTアートが載っていました。
Semi-Fungible Token(SFT)とは何か、NFTとの違いや仕組み、活用例|Tomohiro Tagami / 田上智裕|note
あまり聞かないSemi-FTについての記事でした。チケットなどの活用が期待されそうな技術です。
DeFi
#205 Tempusインタビュー - by TheCoffeeTimes ☕ - Bspeak! - 暗号通貨/ブロックチェーン
いつ見ても秀逸。あと50本ぐらい書けば本数だけはcoffeeさんに追いつけるなーと思いながら目標にしています。
Stablecoin / CBDC
UXD Protocolが、IDOで$57M調達! すごいなUXD
はい、本日は以上になります。
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