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2021Q2 DeFi レポート | Messari
そういえば、昨日の情報ソース一覧に載せ忘れていたMessariからすんばらしいDeFi Q2レポートが出てました。文字とグラフの量がハンパない量なので掻い摘みつつ、私見を交えて紹介できればと思います。全文読みたい人は記事をクリック!
DeFi市場全体感の把握
よく考えれば、去年の今頃は「DeFi」なんてコトバほとんど誰も喋っていませんでした。振り返ってみると、8月のCOMP祭りで火が付き、UniswapとSushiswapが流動性の奪い合い、Aaveの登場、L2への以降合戦など、すでに数十年を生きてきたような感覚すら覚えるこの業界がやっと1年経とうとしています
DeFiの成長はTVL(スマコンにLockされている金額)データを見ても明らかです。ここの1年間でとてつもなく大きく早く成長しました。2021Q2は暗号通貨市場の盛り上がりも相まって大きくTVLが伸長し、下落する乱高下の激しめの期になりました
乱高下は激しかったですが、2020年8月ごろに私達がとても大きいと思っていたCOMP祭りは現在のスケールで見るとグラフに現れないほどに小さいピークだったことを考えると、さらに1年後には話題にも上がらないようなイベントになっていると予想できます
DEX市場
Uniswapを始めとするDEX市場は2021Q2も爆発的にTVLを増加させ、4,050億ドル市場に達しました。去年と比較すると1万%以上の成長、前記と比べると83%の成長です。ハンパない成長速度です
このグラフに入っているようなUnswapなどのトークンを持っているだけで、その恩恵を一般人でも受けることができる点は「株式会社」の発明に次ぐ、発明だと思います。トークンが何かまだピンときていない方はこちらの記事を読み、「トークン」が「株式」の上位互換であることをご認識ください。きっと人生が豊かになります
[Daily Topics]トークンは株式の上位互換、コンテンツのトークン化によるDAO経済圏へ進む世界
データを月別に見てみると、5月以降DEXの出来高は半減しており、6月の出来高は950億ドルに減少しました。5月以降、DEXの取引量は半減し、6月の取引量は950億ドルに減少しましたが、それでも過去3番目の取引量でした。
TVL上位はUniswap、Pancake、Sushiswapらへんですね。Uniのコピーで生まれたSushiが本家の競争相手として地位を確立している点とてもおもしろいです
2021Q2といえば、Uniswap V3が提供されたことでも話題になりました。V3最大の特徴は「集中流動性提供」と言われており、流動性プールに貯まった資金効率を高める狙いがありました。その狙いは的中し、すでにV2を超える流通量をV3は叩き出しUniswapの躍進を支える立役者となりました
集中流動性提供によって、V2よりもV3はLPの資本効率を4,000倍も向上させることが可能だそうです
一方、Binanceが運営している(はず)のCeDeFiであるPancakeはTVLを大きく落としています。理由としては、利用者層の違いで、Pancakeには超短期的な高APYを求める個人投資家が多く、暗号通貨価格の下落やPolygon上のDeFiの台頭によりさらに高いAPYが示されるとそっちに流れていってしまうためです
金で釣った魚は、より金の多い方に流れていってしまう典型ですね。
BSCのエコシステムは、5月の市場暴落で最も大きな打撃を受け、TVLは数日のうちにピーク時から50%以上も下落しました。BSCのアプリケーションにロックされている資金のほとんどが傭兵的な資本であり、ユーザーの投機を煽る以外に使い道のない資産で構成されていたためです。
BSC上のDeFiは詐欺なども多く、市場の低迷⇒詐欺プロジェクトが高APY商品を提供⇒詐欺、GOX、ラグプルの温床となり、「魔界」と呼ばれるようになりました。DEXの流通量のシェアを見てもBSCがPolygonとEthereumに押されているのがよくわかります
DEXすべての取引量が増加したことで、世界中に存在しているCEX系の中央集権的な取引所の総流通量の10%をDEXが担うようになったようです。この数字が来年どの程度まで上がってくるのか、今から楽しみですね
DEX, 来季以降の展開
■Ethereumのロールアップ
来季以降はEthereumのロールアップに影響するところが多くなるでしょう。Gasが詰まりがちなEthereumチェーンの性能が向上することにより、PolygonやBSCに流れていた資金を呼び戻すことにも繋がり真のDeFi経済圏の成長を実感できるはずです
CeDeFi形式のBSCや分散性が十分でないPolygon上に資金を預けるのはセキュリティの面で心配なことが多いため、個人的には大いに期待しています
■クロスチェーン対応
個人的に早く実現してほしいのがこれです。L1からL2への資金移動は依然として面倒くさくてかないません。
現状では、ユーザーはロールアップからEthereumに流動性を引き出す際に長い引き出し期間を要し、最初にEthereumに引き出すことなくロールアップ間で流動性を移動させる方法がありません。この課題の解決を目指すMakerDAOのOptimism Dai Bridgeは、L1のDAIをロックアップしてL2のoDAIをミントすることを可能にするものです。
難しいかもしれませんが、「ところてん」のようなものでL2の資産をLockして、L1にそれと似たようなものを代わりにMintする仕組みです。押し出してる感じがところてんっぽい感じがします
今年後半に高速引き出しが可能になると、oDAIはL1 DAIへのほぼ即時のアクセスと引き換えに燃やされ、ユーザーはOptimismに伴う1週間のロックアップ期間から逃れることができるとのことで
これと同様のクロスチェーン対応が進み、L2とL1の資金移動が効率化しさらなる資産効率のUPが見込めるでしょう。DeFiはまだまだ成長していきますよ
Lending市場
レンディング市場も暗号通貨の高騰を受けて、乱高下の激しい期となりました。3月から5月のクラッシュまでの間、投資家はすべてのレンディングプロトコルで得られる法外な貸し出し利回りを得ようとしたため、貸し出し預金は250億ドルからピーク時には450億ドルにまで膨れ上がりました(わずか6週間で81%の増加)
暴落により膨れ上がったTVLは水泡に帰すのですが、最終的には、前四半期比でわずか15%の増加にとそれでもその辺の上場会社の成長速度をあるかに超える%で成長しています。
これは貸し出す側のデータですが、借りる側のデータも同様の傾向となっています
Aaveの台頭
2021Q2のレンディング市場を牽引したのはAaveです。AaveはEthereumの高額な手数料環境から逃れるために、Polygon支店の開設を発表。この発表を受けて、PolygonとAaveは提携し、PolygonのDeFiForAllキャンペーンの一環として、初期ユーザーに流動性マイニングのインセンティブを提供し、利用の動機付けを行いました。このプログラムは大成功を収め、AaveのTVLは発表から2週間で60億ドルから120億ドルへと倍増しました。データで盛り上がっている部分はそれに当たります。
5月末までに、AaveはDeFiの総融資市場の37%以上を獲得し、Compoundを追い抜いて主要な融資プラットフォームとなりました。
Compound Treasury vs Aave Pro 機関投資家獲得競争
CompとAaveは外から見ていると「殴り合ってるけど仲がいい」良いライバル関係になっているように見えます。
2021Q2は若く開発速度の早いAaveに軍配があがる形になりましたが、Compoundも企業向けの金融商品であるCompound Treasuryを発表し巻き返しを測っています。この商品は、年4%の固定金利を保証しているので、米国の平均的な貯蓄口座と比較して大変魅力的に映るはずです
#185『Compound Treasury』のねらい - by TheCoffeeTimes ☕ - Bspeak! - 暗号通貨/ブロックチェーン
DEXpartでクロスチェーン対応の話をしましたが、レンディング市場でも同じ課題感を持っています。同じ暗号資産なのに、L2にある資金をL1のCompに預けられないのは普通に不便ですよね。
CompoundはCompound Gatewayと呼ばれる独立したブロックチェーンをリリースすることでこの課題を解決します。Gatewayの目的は、あるチェーン(Ethereum)の資産を別のチェーン(Solana)の担保で借りることができる機能をユーザーに提供することです。
Gatewayは、レンディング契約を、異なるチェーン間で価値を接続して転送するためのコア・メカニズムとして使用することで、ブロックチェーンの相互運用性を実現してくれます。
Ethereumで貸して、Solana上で借りるとかができるようになっていくので小旅行しやすくなりますね
Compの動きに合わせてというか、AaveもAave Proを発表しており、同じ戦略を取ろうとしています。
機関投資家向け「Aave Pro」がローンチへ、DeFi連盟 | あたらしい経済
デリバティブ商品開発
デリバティブとは、国債や投資信託など様々な金融派生長品の総称です。既存金融でも様々な商品が展開されているので「デリバティブ」というコトバは聞いてことがなくても、商品には触れている方が多いかと思います
現在のDeFiの世界は需給によってリアルタイムにAPYが変化する「変動型」が一般的ですが、一般的な投資信託のAPYと異なりDeFiのAPYは昨日は100%だったのに、今日は1%になってるなんてことがザラです。APYが金利で計算され常に最適化されるのは素晴らしいことですが、毎分毎秒の変動金利は人類には早すぎます。少なくとも金融リテラシーの高くないマス層には普及しないでしょう。
そのため、固定金利型のDeFiの開発が進んでいます。「Aave」や「Compound」とは異なり、「Yield」や「Notional」のようなプロトコルです。
これにより、ユーザーは事前に設定した時間軸の中で固定金利での貸し借りを行うことができます。これらのプロトコルは、ユーザーが金利の変動にさらされることがないため、貸し借りの際に事前に計画を立て、適切にリスクをヘッジすることが容易です。
私もCompやAaveに預けるのではなく、一部資金はBlockFiなどの中央集権型のレンディング業者に資金を預けていますが、固定金利がその理由の1つになっています。変動金利は毎日HPを見に行かなければならないので疲れてしまいます
デリバティブの一環として、DeFi保険のようなものも発展していくものと考えているので非常に楽しみです
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最後に、Messariからのありがたいお言葉を拝聴して終わりましょう。
「DeFiは人類のバベルの塔です。私たちはお金を言語として再構築しました...すべての国のすべての文化が話すことができるコンピュータ言語です。そして今、人類の輝き、欲、理想のすべてが1つのシステムに統合され、システムの成長は比類のないものになるでしょう。これからの1-2年は、何十年、もしかしたら何世紀にもわたって反響を呼ぶことになるでしょう」
乗り遅れている場合ではないですね。ポートフォリオの全額をDeFiに投資する行為は自殺行為ですが、数%を投資しておけば数年内に大きく成長していく可能性は間違いない領域です。未来の金融市場行きの列車に特急で乗るか各駅で乗るか、それとも歩いていくか選択の違いによって大きく人生が変わりそうですね
本日のメイントピックは以上になります。
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今日のネタ枠
真面目な話ばかりでもつまらないので息抜きにネタ枠を用意しています。
Crypto業界で働きたい人は、今からオンチェーン経歴書(On-chain resume)を作りましょう、という記事
魔王がありがたい記事を紹介してくれてました。自分の公開鍵が履歴書になっていく世界はすぐそこまで来ているのかもしれません。自分のトークングラフを育てましょう
DeFiの深淵は深いですね。。。自分もまだまだです
本日は以上になります。Substackは意外といいねとコメントが来ないのでお手すきの際に是非お願いします。反応があるとシンプルにやる気が出ます