#182 Substack
Layer2の技術的な話は置いておいて基本的なことを説明しました。
前回記事:[Daily Topics]Web3.0市場の鉄則「Fat Protocol」がもたらすコンポーザビリティの革命
解説ラジオ:ラジオで聞くならこちら
English ver:英語訳してくれていた方が電通に転職されてしまいました。つまり、このメルマガを英訳していると電通にい行けるってことです。Help Needed!!
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation !
今日はEthereumの処理性能を高めるLayer2の技術について解説していきます。
これ読んでから読むとさらに幸せになれる
なぜLayer2が必要か
Layer2の必要性を説明するためにまずは以下のグラフを御覧ください。こちらはEthereum上で取引を行うために必要なGas(ガス)と呼ばれる手数料の推移です。期間は5年間、単位はGweiです。
<aside> 💡 Gwei = ETHの最小単位。1Gwei = 0.000000001 ETHを表しており、ETHの高騰と共に手数料も上がる傾向がある
</aside>
2020年の夏頃から、EthereumのGasコストが高くなってきており、Gasが高くなる=Ethereum上での取引が活発化していることを示しています。2020年はDeFi,2021年はNFTがEthereum上の大部分を締めましたが、取引が多くなりGasコストが高騰することを**「Ethereumが詰まる」**といった表現をします。
Ethereumの平均Gas手数料(ソース)
Ethereumが詰まる現象を高速道路に例えて説明してみます。
通常、車が高速道路の上を走り目的地まで向かおうとした時に、高速道路を利用するためには料金所でお金を支払う必要があります。そして、高速道路を使おうとする車が多くなると高速道路は「詰まって」しまうわけです。
Ethereumでも同じことが起こっており、Ethereumブロックチェーンが高速道路で、料金所で支払うお金がGas、その上を走る車がEthereum上での取引を載せたブロックとなります。
Ethereumを高速道路に例える(MyCrypto)
高速道路とEthereumの違いは「通行ルール」です。
高速道路は並んでいれば先頭から順に通行できますが、Ethereumの場合は通行手数料を多く払った車から通すロジックとなっています。急ぎの取引の場合はお金を詰めば速く通過でき、安すぎる手数料だといつまで経っても通過させてもらえません。
前節において、Ethereumのノードは高度に分散し高いセキュリティを保持していることは説明しました。セキュリティの高いブロックチェーン上でdAppsを利用しようとするのは当然ですが、Ethereumは取引の数が増えるとGasコストが高騰する設計になっているためお金持ちしか利用できないブロックチェーンになっているのです。
どのぐらい手数料が高騰しているかと言うと、NFTを1度販売するだけで数万円掛かります。数億円する高額なNFTであれば数万円の手数料は割合で見ると小さいですが、数千円レベルのNFTを販売しようとするとそれだけで赤字になってしまいます。世の中はお金持ちよりも、一般人の方が多数はなので、これではいつまでもWeb3.0が普及していきません。
そういった背景を踏まえ、高額なNFTや大事な取引はセキュリティの高いEthereumで、それ以外の毎日行うような取引はGasコストの安いブロックチェーンを使う、といった使い分けが重要になってきているのが現状です。
このEthereum以外のブロックチェーンを使うことを考えた時に、選択肢に入ってくるのがLayer2, サイドチェーン、その他のLayer1ブロックチェーン達です。
時代はマルチチェーンが当たり前に
Layer2はEthereumをLayer1とし、そのパフォーマンスを向上させようとするプロトコル群です。2021年後半頃からこのLayer2の技術がとんでもないスピードで伸びています。
サイドチェーンはゲームなどの用途に特化したブロックチェーン群です。Layer2との違いとしては、Ethereumが無くても存続可能かどうかです。Layer2はLayer1のEthereumが無ければ機能しませんが、サイドチェーンは独自の経済圏として機能します。
なお、Layer1という表現はEthereumに限った話ではなく、Ethereum以外のLayer1プロトコルも多数存在しています。BSC(Binance Smart Chain)やAvalanche, Solana, Astarなどです。これらはEthereumと同じBaaSの機能を提供するLayer1ブロックチェーンなので、Ethereum Killerなどとも呼ばれます。
BitcoinをLayer1としてその上で機能するdAppsをLayer2と表現することもあり、PolkadotやCOSMOSのようなブロックチェーン同士の相互運用性を持たせるためのプレイヤーをLayer0と呼ぶこともあります。
様々なブロックチェーンの名前が出てきましたが、ここで重要なことはこれらが必ずしもEthereumと競合する関係性ではないということです。いずれ、世界中の人間がWeb3.0にアクセスすることを考えた時にEthereumだけで全取引を賄うことは不可能です。その時には複数のブロックチェーンが利用される「マルチチェーン」対応されることになるでしょう。
Ethereumが苦手とするゲームや高速取引の部分は他のブロックチェーンが担うことで、将来的に複数のブロックチェーンがインフラとして機能しつつも一般ユーザーには見えないようにUXは改善されていくものと予測されます。
本書では全てについて取り上げたいのですが、物理的な紙のページ数が足りないのでLayer2の紹介をするに留めたいと思います。
Ethereumのスケーラビリティを改善するLayer2
Layer2はEthereumをLayer1とし、そのパフォーマンスを向上させようとするプロトコル群の総称です。以下のグラフを見てもらえれば分かる通り、2021年後半頃からLayer2プロトコル上のTVLが急拡大しているのが分かります。
拡大するLayer2のTVL
Layer2はとてもおもしろい領域で、これから間違いなく伸びていく領域なのですが、ここから先は「沼」です。興味がある方には自分で調べていただくことを前提に、この領域の重要な部分を抜粋しながら説明したいと思います。
Layer1とLayer2の関係性
Layer2はLayer1であるEthereumの上に構築される拡張ツールなのでLayer1の高いセキュリティと分散性をそのまま継承することができます。つまり、安全性が高いということです。
何と比較して安全かと言うと、Layer1同士の送金と比較した場合です。
例えばEthereumからSolanaへの送金を実行した場合、間のBridgeが攻撃されれば資金が流出してしまいますが、Layer2の場合、Layer2になんらかのバグがあり機能が停止してしまったとしても資産はLayer1のEthereumに保護されており回収可能な仕様になっています。
これがクロスチェーンとマルチチェーンの違いです。
Layer2によってEthereumのスケーラビリティの課題は改善されるので、2022年はLayer1を直接触れる最後の年になるかもしれません。Ethereumレベルにセキュリティが高く処理性能が高いLayer2が構築されてばGasコストの高いLayer1を直接触ろうとするユーザーはいなくなります。
そして、今はHotな領域であるLayer2も手法が確立されれば、いずれ一般のユーザーには見えないインフラの深いレイヤーの中にモジュール化されて組み込まれることになります。
そうなれば、現在の複雑怪奇で高度なリテラシーを要求するWeb3.0プロトコルのUXが改善されていくことになります。
Layer2のプロジェクトについてはこちらにて紹介しています。
[Daily Topics]【翻訳】EthereumのL2ソリューションに関する究極のガイド
インフラとアプリは相互に成長してきた
IT技術の歴史を振り返って考えてみると、インフラとアプリは相互に進化していくターン制で成長してきました。
インフラがある程度整ったら新しい機能を備えたアプリの時代が来て、アプリでできることの限界が来たらインフラの進化を待つ、といった相互に成長していくサイクルがあります。Cryptoの世界においてもこのサイクルは同じものです。
2021年はNFTを始めとしたユーザーの目に触れるソフトやアプリに近いレイヤーが大いに成長を遂げました。そろそろ、現在のNFTやインフラでできる限界を迎え、本格的にインフラの深い部分に革命的なイノベーションが起こる順番が訪れようとしています。
インフラとアプリは交互に進化する関係性にある
現時点では各ブロックチェーン同士は繋がっておらず、アプリ側でBridgeを介して無理やり繋ぐことが精一杯ではありますが、数年後には相互運用性やスケーラビリティの課題も改善され、新しいユーザー体験を提供するアプリが登場してくるでしょう。非常に楽しみですね。
関連トピック
Ethereum関連の話題
[Daily Topics]Web3.0のインターネット基盤になっていくEthereum
[Daily Topics]ETHをホールドし続けられる理由
[Daily Topics]既存金融市場の何割をEthereumは塗り替えることができるか
[Daily Topics]GrayscaleのEthereum投資性評価レポートを参考に, EIP-1559の価値をざっくり解説
[Daily Topics]【翻訳】EthereumのL2ソリューションに関する究極のガイド
Discordでコミュニティ開きました
招待リンクはこちら(リンク切れしてたら教えてください)
■メルマガコミュニティに参加する特典
過去メルマガの検索、閲覧し放題です。こちらから⇒Daily Topics
のぶめい企画を一緒に考えよう、提案は大歓迎
メルマガに書ききれないCrypto関連のNews Feedを流します
執筆中の本の途中経過を公開します⇒[Daily Topics]のぶめいは本を書く
今日のネタ枠
<aside> 💡 真面目な話ばかりでもつまらないので息抜きにネタ枠を用意しています。
</aside>
めっちゃおもしろくて草
ご連絡
電子マグロオークションは80万円で落札されました!!!
年始のマグロの初競りにあやかって、電子マグロNFTオークションを実施したのですが、最終落札価格が80万円で落札されました。初競りマグロが1,688万円だったので、惜しくも1,600万円足りずということで来年再チャレンジしたいと思います!
メタバース上で販売された初競りの電子マグロNFT、3000Maticで落札される(80万円相当)|銀座渡利のプレスリリース
Gitcoin Grant出してます
のぶめいはGitcoin Grantに2つプロジェクトを提出しています。
■ のぶめいのメルマガのGrant https://gitcoin.co/grants/3422/nobumei-newsletter
■ 広告枠のマーケットGrant https://gitcoin.co/grants/3614/kaleido-decentralized-ad
のぶめいラジオ始めました
このメルマガの内容を解説するラジオを始めました。テキストよりラジオのほうが情報に接しやすい方もいらっしゃるでしょう、ということでメルマガの内容をのぶがめいに説明する形でやっています。stand.fmってアプリでやってましたが、サービスがWeb2すぎるのでPodcastに変更しました。模索中です。
stand.fm:https://stand.fm/channels/616990bdafa93b18fc46b1cd
Podcast:https://anchor.fm/nobumei/episodes/2021NFT-e1c611j
相互リンク枠
■はるか先生の週間NFTニュース
@はるか先生が書いているこちらを読んでおけばNFT関連ニュースはカバーできるのでオススメ
一覧はこちら:https://nftnews.jp/weekly-nft-news-list/
ここまで読んだら「いいね」押してくれてもいいと思う
Substackにはいいねとコメントの機能があるので、お手すきの際にお願いします!反応があるとシンプルにやる気が出ます。勉強中の友達に紹介してくれたりとかするととても嬉しいです。
また、匿名で質問とコメントが書けるページをそれぞれ用意したので、メルマガで書いて欲しいネタや疑問点があれば投げてみてください。コミュニティで聞いてくれてもいいよ!
メルマガコミュニティはこちら
よろしくおねがいします!^^