メルマガ配信をDAO化したい、どうも@nobu_meiです。今日は金曜日でDAOやトークンエコノミーについて話す日なので、ワイオミング州でDAO法人が認められた話をします
米ワイオミング州、DAOを法人として米国初認定 | Cointelegraph
仮想通貨への取り組みが進む米ワイオミング州で、同国で初めて分散型自律組織(DAO)が承認され、適用第1号となりました。
これに際し、第一号案件となった「American CryptoFed DAO」のCEOを務めるマリアン・オア氏は、次のように述べています。(DAOでCEOって役職は正しいのか?)
「ワイオミング州は、米国におけるデジタル資産の代表的な管轄地域であり、今回のDAO法により、ワイオミング州は間違いなく世界でトップのブロックチェーン法域となる。これは、多くの大衆に受け入れられる真のデジタル通貨の作成が可能になったということだ」
American CryptoFed DAOの目的は、インフレやデフレの影響を受けない「トークンエコノミー」を促進することらしく、「Ducat」と「Locke」の2つのトークンを発行しています
Ducatは、DAOのステーブルコインであるが、手数料なしの取引を促進し、Lockeは、Ducatを安定させるためのガバナンストークンとのこと。トークンは4月にSEC委員のへスター・ピアース氏が発表した「Token Safe Harbor Proposal 2.0」に準拠して発行されるとのことで、DAOを作る際のドキュメントとして参考になりそうです
DAO向けリーガルフレームワーク「DAO Model Law」
ワイオミング州でDAO法人が可決されたので、DAOがどのような法の枠組みに当てはまるのかを見ていきましょう
この記事はCOALA(ハーバード・ロー・スクール、Ethereum Foundation、BNP Paribas、MakerDAOのメンバーが参加)が、2019年12月19日に最初に発表されて以来、1年掛けて作り上げたDAOのリーガルフレームワークです
2019年、COALAは、ブロックチェーン上の非領有権のDAOの使用が増加し、これらのDAOやその基礎となるプロジェクトが法律上どのように取り扱われるかについての法的確実性が低下していると提言しており、それからちょうど1年半後有限実行で組織をDAOと認めるために必要な要件を定義しました
このモデル法は、DAOの開発者、管理者、メンバー、参加者にとってベストプラクティスの基礎となる文書となることを目指しており、日本でDAOを作る際にも参考になると思われます。
COALAは、分散型エコシステムの専門家を集め、ブロックチェーン技術の意味と展開を探求する、ユニークで協力的な、グローバルで多分野にまたがるコミュニティです。
モデル法では、現在ブロックチェーン上で見られる登録型DAOと未登録型DAO(それぞれ「ラップドDAO」、「アンラップドDAO」と呼ばれることが多い)の2種類のDAOを認め、未登録型DAOのための道筋を提示しています。ワイオミングで認められたDAOは「登録型」です。既存のDAOの大半が未登録であることを考えると、本モデル法はDAOの法的不確実性の解消に向けた議論の土台になるでしょう
DAOモデル法はどのように実施されるか?
モデル法がある国で批准されると、その国のDAOは有限責任の法人として認識されます。批准していない国の現地法においても、モデル法は国際私法の原則に基づいてDAOをある程度認め、保護することになります
11 DAOの設立要件
DAOモデル法の核となるのは、DAOが法人格と有限責任の恩恵を受けるために満たす必要のある11の技術的およびガバナンス的要件です。
DAO Model Lawレポートの18ページに「11 Formation Requirements」が掲載されています。ここにも掲載すると、以下のような項目になります
DAOはパブリックブロックチェーン上で展開されなければならない
DAOは、誰もがDAOの運営状況を確認できるユニークなパブリックアドレスを提供しなければならない
DAOのすべてのコードがオープンソースであること
DAOの全てのコードが監査されていること
一般人がDAOスマートコントラクトの主要な変数やトークンの制限があればそれらを読み取ることができるインターフェースが少なくとも1つあること
DAOが素人にも理解可能な定款を持っていること
DAOのガバナンスシステムが技術的に分散化されていること
少なくとも1人のDAOメンバーが存在すること
一般人がDAOに連絡を取ることができる公的に指定されたメカニズムがあること
DAOは、DAOとそのメンバー及び参加者が拘束される紛争解決メカニズムを持っていなければなりません
DAOは第三者との紛争を裁判外紛争処理で解決することが可能な紛争解決メカニズムを持っていること
DAOの組織形態を考えると当然の項目ばかりのように思えますが、あえてまとめてくれていることは非常に価値があります。これらの要件を守ることができれば、オープンで透明性の高いDAO型の組織運営の第一歩となりそうです
今後DAO型組織に発生しそうなリスク
DAOモデル法レポートでは、今後DAOに影響が及びそうなリスクについても書き出してあり、DAOを既存の仕組みに組み込む際に以下のような要件が課せられる可能性があります
DAOが法人格の11の要件を継続して満たしているかどうかを監視する権限を、国が規制当局に与える可能性があります
⇒DAOになると会計がすべて透明になるので監査法人がいらなくなると言われていますが、DAOを監視する第三者機関が必要になるのであれば、「監査法人」のような仕事はなくならないかもしれませんね
DAOメンバーおよび参加者の匿名性の維持に努めていること
DAOメンバーが有限責任の保護を失うことに繋がる行為が規定される
DAOには最低資本金が義務付けられていないことを明確にしています
DAOが組織、ガバナンス、資本構造をどのように構築するかについて高度な裁量権を与えていること
DAO内で役職や意思決定権を持っているだけでは受託者責任を負うことにならないこと
⇒DAOは責任も分散化されていたと思いますが、誰か責任取るやつは用意しとけよということでしょうか
モデル法とDAOの定款を適用しても不備がある場合、批准国は一般的な企業組織法をDAOに適用する可能性がある ⇒日本だと会社法を適用されることになるんでしょうか
DAOの税務上のパス・スルー・エンティティとしての認識を促進し、国におけるほとんどの信託の税務上の取り扱いと同様にします。 ⇒ちゃんと税金は取るよという話
DAOが強制力のある判決に従うことを拒否した場合、遵守に反対票を投じたDAOメンバーは、DAOにおけるガバナンス権のシェアに比例して、命じられた金銭支払いの責任を負うことを推奨しています。 ⇒これおもしろいですね。組織としての賠償を拒否した場合には、反対した人が個人的に賠償する責任を追いますよという話です
ガバナンストークンをエアドロップで受け取った人は、そのままではDAOメンバーではないことを明確にします ⇒トークンを受け取るだけではコミュニティメンバーではないとの記述です
ハードフォークが発生した場合、法的承認と資産所有権はマジョリティチェーンに従うことを決議すること(DAOが別の決定をしない限り)
ざっと見ただけでもおもしろい項目が多く、議論が白熱しそうですね。日本ではDAOのダの字も聞こえてきませんし、この辺の議論が深まってくるのはまだまだ先になりそうです。NFTのように急なバズワードとしてDAOが広まる可能性もありますが、「DAO」は既得権益の方々の権利を損なう考え方なのでDAOの志向性は広まっても導入しようという動きにはなっていかないものと思われます
本日は以上になります。
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今日のネタ枠
真面目な話ばかりでもつまらないのでネタ枠も作りました。
[仮想通貨・魔界で“焼かれ続ける”負け組。その共通点を探ってみた – 日刊SPA!]()
ハッシー橋本さんのDeFi魔界マンガは最高です。あるある過ぎてめっちゃ笑えます
本日は以上になります。Substackは意外といいねとコメントが来ないのでお手すきの際に是非お願いします。反応があるとシンプルにやる気が出ます