トークンは株式のダウンサイジングイノベーション
今日は仮想通貨(FT)やNFTで頻発するキーワード**「トークン」**の性質について説明します。まず結論からですがタイトルにもあるように、トークンは株式のダウンサイジングイノベーションです。カタカタ表記がしっくり来なければ、「進化版、強化版」のような存在です
【結論】=トークンは株の流動性を高め、発行を簡単にした進化版です
ダウンサイジング・イノベーションとは、イノベーションの世界でよく使われる言葉らしいです。
【事例】スマホのデバイスは世代を経るごとに小さく多機能になっている
機能自体はより高度になりながらも、参加できる単位や大きさがどんどんコンパクトになっていく、これがダウンサイジングイノベーションの世界です。そして、株式経済とブロックチェーンの技術が掛け合わさることで「トークン」という形でダウンサイジングイノベーションがなされ、まだほとんどの人がその事実に気づいていない。というのが今の時間軸です
まず、株式の仕組みをおさらいしておきます。株式経済というのは、大きく分けると3つの機能があります。
起業家は株を発行することで事業開始前に資金を集めることができる
投資家は初期に投資することで、株の価値を上がっていくとキャピタルゲインを得ることができる
株の保有者は株があがることで自分にメリットがあるので会社を宣伝するメリットがある。
この3つの力点が相互に働くことで市場にお金が流通し経済が回っていく構造になっています。①株式発行により投資家が事業を継続して成長させることで、②一株あたりの価値も高まり、投資家はその株式を保有し続けるメリットが生まれ、③投資家がその会社を宣伝することでまた新たな購入者が現れる。
**このループがネットワーク効果として徐々に大きくなっていくメカニズムになっています。**このメカニズムを作り上げることができれば、株価上昇によって得られる資金を元に、企業は、更に事業を成長させたり、新しい事業を開発することができます。これが今の経済のメカニズムです。
**トークンエコノミーを一言で言えば、この株式経済に一般人も参加可能にした世界だと言えます。**2017年頃にICO(仮想通貨取引所への上場)がかなり流行りましたが、このICOは株式上場が言うIPOに該当します。
これが上でトークンは株式のダウンサイジング・イノベーションと説明した概略です。以下にてトークンと株式を比較する表を作ってみました。上の方の項目は共通項ですが、下の項目が大きな違いかと思います
トークンが誕生するまでは、資金調達をしようと思ったら証券会社にお願いして信用を担保に株式を発行してもらう必要がありました。それには膨大な時間と大量の説明資料、過去の実績が必要で非常に難しいのが現状です
トークンはそれを誰でも簡単に発行可能にしました。もちろん、過去実績や利用用途が無いと価格はつかないのですが、私も自分でnobumeiトークンを独自に発行しています
トークンは株式の基本的な機能を備えつつも、流動性の高さ、購入者の属性において大きく異る部分があります
【流動性】トークン > 株式
まず、流動性ですがトークンはP2Pで取引者間の直接取引でやり取りされるため、間に必ず証券会社を挟む株式取引よりもトークンの方が株式よりも流動性が高いです。そして、間に人間や組織を挟めば挟むほど手数料も高くなり、流動性が低くなってしまいます。1万円の証券の取引で手数料が3,000円取られたら誰も取引しませんよね
その点、トークンはP2P取引で手数料も数円で済むのでトークンに優位性があります
Googleで日本の個人投資家の数を検索すると約5,000万人だそうです。日本人口の約半分ですね。株式は資金調達可能な便利な機能ですが、購入できる人間は半分程度、ということになります。
トークンは銀行口座を持つことができない方でも購入できるのでそういった点でも優位性を持つので、将来的にトークンの市場規模は株式経済の市場規模を追い越すことは自明です
定量的にトークンのほうが優れている点を上げましたが、ここからが面白い定性的な部分です。しっかりとインプットしてください
【購入者特性】トークン > 株式
基本的に、株式は投資家が利益を求めて投資をするものです。自分の投資した株が上がれば自身がキャピタルゲインを得られるので、購入者は周りの人間に会社の宣伝を行う内発的動機を得ます。内発的動機はユーザーの行動を変化させ発行体が望む行動をユーザーにさせることができ、トークンはそれを簡単にできるのです
この内発的動機を生み出せることがトークンを簡単に配布できる点が革命的です。
例えば、みんな知っているNintendoは株式を発行していますが、その株式を持っている投資家は全員がNintendoを好きなわけではありません。一方、トークンであればNintendoのゲームを遊んでいるユーザーに報酬(ログインボーナスや購入者特典)としてトークンを付与することができます。
すでにNintendoのゲームを遊んでくれているユーザーなので、トークンが配布されるのは熱狂的なNintendo or ゲーム自体のファンです。配布されたトークンはこのゲームを遊ぶユーザーが増えて需要が高まるほど価値が高まるので、トークン保有者の友達や家族を誘う内発的動機が生まれます。
この時に株式と大きく異なる点はユーザーの熱量です。お金を出しているだけのユーザーと実際に遊んでサービス良さを分かっているユーザーとでは、圧倒的に熱量が異なります。
この熱量の高さをネットワーク効果としてプロダクトの成長に活かすことができるので、トークン保有者同士で熱狂的なコミュニティが生まれます。抽象度を上げて考えれば、BTCも、デジタルゴールドとして、一つのトークンエコノミーを形成しています。
この時のトークンエコノミーは、以下のようなステップで成長します。BTCも他の仮想通貨も似たような成長過程を経ています。
ユーザーがゲームを遊ぶ
Nintendoからユーザーにトークン報酬を渡す
トークンをもらったユーザーは報酬をもらうためにさらにゲームを遊ぶ
トークンの価値が上がりユーザーが経済的に裕福になる
ゲーム遊んだことで経済的に自立したので、周りに高い熱量を持って宣伝をするようになる
ユーザーからさらに別のユーザーにNintendoトークンが手渡されて経済圏が広がる
熱狂的なファンの中には特殊なスキルを持っているユーザーも多く含まれているので自分の所属するコミュニティのために高い熱量を持って無償でも仕事受けるオープンソース的な動きが生まれています。これが発展していくとDAOという分散型組織へと成長してくのですが、トークンエコノミーを実装しているプロダクトはこのDAO化が1つのゴールだと思っています。
DAOの世界では、世の中の色々なサービスなどに、ユーザーの貢献度に応じてトークンをリワードとして提供することで、サービス運営者側の業務をどんどんアウトソース可能になります。インターネットで言えば、アフィリエイト市場も似たようなものです。
そして、そのトークンに、供給制限がかかっていることで、未来永劫、増え続ける日本円やドルなどの通貨に対して、資産価値が上がり続ける作用が持続的に作り上げられることによって、ユーザーは、今までのリワードプログラムにない価値を、トークンエコノミーに見出すことができるのでこのエコノミーを強化するためのコミュニティ開発が重要になります。
今はDeFiやNFTのプロジェクトが軒並み自分たちのトークンを発行しています。これは単純な資金調達ではなく、株の発行以上に経済的インパクトのある行為です。次はこの変化がコンテンツ主導で起こっていきます。コンテンツ単体がトークンを発行し熱狂的なファンとトークンで繋がる経済圏が誕生するのです
どうかその時のムーブメントの中心にはプレイヤーとして存在していたいですね。
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