通貨の歴史と変化する「信用」の所在
今日は現在の通貨が通貨として成立するようになった歴史を紐解いてみたいと思います。
いきなり豆知識で恐縮ですが、我々が普段使っている**「1万円札」は製造コスト20円だそうです**。なんで20円の価値しかないものを我々は「1万円」と認識して普段の生活に利用しているのでしょうか。
通貨の誕生
通貨がまだなかったころの人類は自分の住んでいる地域でそれぞれ自給自足の生活をおくっていました。ですが、住んでいる場所の地域差により、自分でまかなえるものもと賄えないものがあります。そこで誕生したのが物々交換です。 人々は、野菜や魚、家畜など同価値と思われる量を直接交換し合うようになりました。
しかし、物々交換はお互いの希望するものと実物が釣り合わない事が多々あり交換が成立しない場面が多いです。当然ですよね。家畜をその場でバラシて分割することはできませんし、モノの価値は人によって異なります。
そこで登場したのが人類の初めての通貨です。最初は誰もが必要なお米、小麦、塩、油、丑や羊が通貨として利用されていき、これらは商品貨幣と言います。この場合の通貨は交換を仲介してくれる役割を持つので、**【交換の媒介物】**として機能します。
商品貨幣はその文化圏において誰が見ても価値がありそうなモノを通貨として利用するので物の価値がわかりやすい反面、自然のものを利用するので劣化や天候、老化・風化してしまい供給が不安定でした。また、通貨が牛だった場合、切り刻むわけにはいけないので分割が難しい面もありました。
そのため、きれいな石や貝側などが通貨として使われるように鳴り、鉱山で採掘などが盛んになると金銀銅の鉱石が通貨となっていきます。鉱石は、品質が落ちず、分割しやすく、持ち運びに便利で価値が変わらないので、通貨に**【価値の保存】としての役割**が生まれました。
鉱石としての貨幣は秤量貨幣と呼ばれ、鉱石の種類によって純度はまちまちです。そのため、通貨として利用する前に測りで計量しその通貨が本当に本物かを確かめる必要がありました。支払いの度に測りで計測するのは面倒なので、大きさと重さ、純度がきっちり決められた鋳造貨幣という形に通貨は進化していきます。
紀元前6世紀〜鋳造貨幣が盛んに作られるようになり、**【価値の尺度】という新しい機能を得ました。誰かもわからない人が鋳造すつ通貨はちゃんと作られているか不安になるので、信用力の高い、時の権力者にお金を発行する権利が集中していきます。お金の総量と分配する権利が中央集権的になっていくのです。これにより、お金による【支配と従属】**という支配構造ができあがっていったのです。
鋳造紙幣は金や銀を利用しているので、それ自体が価値を持ちます。中には鋳造貨幣を少し削って利用しようとする人が現れ、削った分も集めてば鉱石として取引されてしまいます。そこで登場したのが兌換紙幣。要は金の引換券です。これが金本位制です。このあたりから、金と交換できる兌換紙幣であるかという**「信用」**が重要になってくるんですね
人類は自給自足の生活⇒物々交換⇒商品貨幣⇒秤量貨幣⇒鋳造貨幣⇒兌換紙幣⇒中央集権国家という通貨の歴史を辿っているんですね。おもしろいです。
■兌換紙幣の問題点
進化し続けてきてたどり着いた兌換紙幣ですが、完璧ではありません。以下のような問題がありました
兌換紙幣は国が持っている金の量以上の紙幣を発行することができない
貧しい国・金を持たない国は紙幣を発行できない
貿易赤字の国は金が海外に流出してしまう
赤字の国は不利になってしまう状況が生まれていました。こういった背景から生まれたのが、不換紙幣で今も使われている1万円札などになってきます。この辺りから、通貨は発行する中央集権的な組織体を「信用」することによって通貨が成り立つようになってきます。
この兌換紙幣⇒不換紙幣への変遷はアメリカがベトナム戦争をした時の不況でコケてしまい、ニクソンショックによって金本位制が崩壊するのですが、それはまた別の機会に書きます
■不換紙幣
通貨自体には何の価値もない
国の信用が維持される間において自由に発行することができる
信用が崩れない限りは無限に経済を大きくしていくことができる(溜めずに使われる前提)
日本のような莫大な借金ができるのは不換紙幣であるがゆえの仕組み。金本位制のときは大きな額の借金は難しい面があった。金の時代に比べ経済を回しやすい構造が作りやすくなった
不換紙幣のリスクシンバブエの事例
ジンバブエはハイパーインフレが起こった国として有名です。インフレは物の値段が起こること。反対に考えるとお金の価値が下がったということを指す。今日は1万円だったものが、次の日は1.2万円必要になると通貨の価値が下がったということになります。
お金の価値が下がったということは、国家の信用力が低下したことと同義です
お金の正体は「信用」です。1万円は製作コスト20円だが、1万円札をみんなが1万円の価値があるものと交換できる紙幣であると信じているから成り立つ仕組みになっている。
シンバブエの場合は、インフレが続いていき物の値段が上がっていくことで、少し溜めて売ったほうが儲かるとなる。供給量は減ってしまうのでさらに価格は高騰するが、生活必需品は絶対に必要なので調達する必要があり、物の価値がさらに上がる。
物の価格が上がりすぎたゆえに買えなくなってしまい、徐々に物々交換経済に戻っていく変遷をたどりました。毎日インフレしていく通貨は国民に信用を疑われ価値が無くなっていってしまいます。
以前、この記事でも紹介しましたが、現在我々が利用している法定柄の円やドルは毎日インフレし続けています。自分の資産ポートフォリオを法定通貨建ての資産100%のまま保有し続けることができますか?
そのリスクを分散させていくことをオススメいたします
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真面目な話ばかりでもつまらないのでネタ枠も作りました。
投資初心者のためのチェックリスト作りました 投資をはじめつ方向けに詐欺にあわ内容のチェックリストが作られていました。投資を始める方は参考にしましょう
@kagimurajun作成