#181 Substack
メルマガを書くのと本としてまとめるのは全く違う能力だと実感します
前回記事:[Daily Topics]Web3.0市場の鉄則「Fat Protocol」がもたらすコンポーザビリティの革命
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English ver:英語訳してくれていた方が電通に転職されてしまいました。つまり、このメルマガを英訳していると電通にい行けるってことです。Help Needed!!
This newsletter is now being translated into English on the same day. I'm really grateful for the instant translation !本日のメイントピックス
ブロックチェーンの相互運用性の課題を解決しようとするプロジェクトとして、PolkadotやCOSMOSがありますが、それらとは異なるアプローチでブロックチェーン間の相互運用性を実現しようという動きがBridgeと呼ばれるものです。
今日はBridgeプロトコルについて書いていきます。
Bridgeとは
Bridgeは2つ以上のブロックチェーン間で情報を転送する仕組みと定義できます。
前節でもブロックチェーン同士がまだ繋がっていないという説明をしましたが、ブロックチェーンの間に橋を掛けてデータのやり取り可能にする仕組みが「Bridge」です。
例えば、Bitcoin上のBTCをEthereumに送金する時に橋を掛け、Ethereum上で利用可能なWBTCに変換してくれるのがBridgeの仕組みです。
BitcoinにEthereumにBTCを移動させるだけと聞くと簡単そうに聞こえますが、ブロックチェーン間を移動させる際にオラクル問題があるため、技術的にハッキングされないような仕組みで実装することに難しさがあります。
以下はBridgeが実際に行っていることの簡単な図解です。
Bitcoin上のBTCをEthereum上で使えるWBTCにBridgeする時の処理
例として、BTCをWBTCに変換しEthereum上で使えるようにする工程を図示しましたが、Bridgeには他にも種類があります。
大きなメインチェーンを作ってそこにサブチェーンが接続することで相互運用性をもたせようとするPolkadotやCOSMOSのような解決方法とは違い、複数あるブロックチェーン間にそれぞれに対応したBridgeが張り巡らせることで相互運用性を持たせようというのがBridgeの解決方法です。
そのため、各経済圏を繋ぐためのBridgeの数は膨大に存在しており、BitcoinとEthereum間であればこれ、EthereumとSolana間であればこれ、といったようにそれぞれ別々のプロジェクトが存在している状態になっています。
現時点における最大のBridgeプロトコルであるMultichain関連のエコシステム図が以下になっているのですが、数が多すぎて半端ないことはわかると思います。
こちらが各ブロックチェーン間を繋ぐBridgeの対応表になりますが、とにかく数が多いことが分かっていただけるかと思います
より実務的なスプレッドシートはこちら
Bridgeの種類
Bridgeは2021年頃から発展し始めた領域ではありますが、Bridgeにも様々な種類が存在しています。
資産のラップに特化したもの
先ほど例示したBTC⇒WBTCのように特定の資産の移動に特化したものです
BTCをWrapped(ラップ)しているのでWBTCのような表現をされます
2チェーン間のやり取りとなるので構造が簡単な反面、拡張性は高くない
他のBridgeが成長してくるまでの繋ぎとして利用されていくものと考えています
チェーン特化型
2つのチェーン間のBridgeなので、実装が比較的簡単で実装も早くなり資産を移転することを可能にしますが、この2つのチェーンに限定されるBridge
アプリケーション特化型
限定されたアプリケーション内での使用のみを目的としたBridge
特化しているのでコードが小さくて済み、モジュールとして組み込みやすいことが多い
デメリットは他のアプリケーションに拡張することが難しいことです。一長一短です。
一般化を目指すBridge
3のアプリケーション特化型を複数ブロックチェーン利用可能にしたBridge
対応できるブロックチェーンが多いがゆえに、強力なネットワーク効果を得られる
欠点はセキュリティと分散性が落ちてしまう点で、実際に史上最大規模のハッキング被害にもあっています
Bridgeの種類分け
Bridgeの課題
Bridgeの最大の課題は分散性とセキュリティです。
1章のBitcoinの仕組みの説明において、「分散」の重要性について説明しましたが、Web3.0のプロトコルには中央の管理者が居ない分散された状況でプロトコルが運営されていることが重要です。分散されているがゆえに中央がハッキングされるリスクがなく、十分に分散されるほどにセキュリティが高まるという構造をWeb3.0プロトコルは持つべきです。
そういった点では現在のBridgeプロトコルはかなり中央集権に寄っています。
例えば、先程から何度か例として登場しているWBTCですが、これは「Wrapped Bitcoin」の略で、Bitcoin上のBTCをEthereum上でも使えるようにWrapped したBTCです。WBTCはBTCを包んだだけのものであるので、BTCと価格は連動する通貨としてEthereum上のDeFiなどで利用できるので非常に便利なものなのですが、WBTCを利用するにはWBTCの発行体にBTCを預ける必要あります。
WBTCの場合はBitGoという会社がこの両替サービスを展開しているのですが、会社がこのサービスを運営している点が中央集権的でこの部分が外部から攻撃されることで預けていたBTCが流出するリスクが存在しています。BTCを預かってWBTCを発行していたにもかかわらず、預かっていたBTCが市場に流出してしまうと市場の供給量が狂ってしまい市場が大混乱に陥ってしまいます。
実際にBridgeの資金が流出した事件は度々起こっており、流出金額は桁違い、暗号通貨の歴史で見ても最大の流出事件を起きています。
これはPoly NetworkというBridgeがスマートコントラクトのバグを付かれたハッキング事件です。
[Daily Topics]クロスチェーンPFのPoly Network, DeFi史上最大670億円のハッキング被害に、レスバトルの末無事奪還
Poly NetworkはEthereumチェーンから現物のETHを預かり、Polygonというブロックチェーン上で利用可能なWETHの引換券を発行するような仕組みになっています。ETHを入れて押し出してWETHを作るので、ところてんのようなものです。ここではところてんコントラクトと呼びます。
今回、被害を受けたのはPoly Networkのところてんコントラクトです。ユーザーのUX的にはPolygon上で使えるETH引換券を受け取っているので価値を移転できたように感じるのですが、本当に価値を持つのはPoly Networkに預けられた現物のETHです。この事件ははバグを付かれてところてんの押出機内に入っている現物ETHが被害に合い流出してしまったというわけです。
Poly Networkが受けたハッキング被害について
スマートコントラクトは改ざん不可能であるがゆえにバグが混入していた場合の修正が困難です。そのため、ローンチされたばかりのBridgeのスマコン達にはどうしてもハッキングのリスクが伴います。
WolmholeというBridgeのハッキング事件では、運営がソースコードをUpdateする僅か30分の隙間を狙ったハッキング被害が起きました。ハッカーはお金の集まっているBridgeコントラクトを狙っており、2022年こういったBridgeのハッキング被害は今後も発生してしまうものと考えられますので利用には注意するようにしましょう。
[Daily Topics]クロスチェーンBridgeのWormholeがハッキング被害、370億円が流出
Bridgeコントラクトに集まっている金額が小さい内は攻撃するインセンティブも小さいですが、時間の経過とともにWeb3.0が世の中に浸透し金額が大きくなっていきます。1回の攻撃で得られる金額が大きくなるとハッキングのために多大な労力を掛けるインセンティブが強化されていくので、Web3.0がマス化するためにはこの課題は解決しておかなければならない問題です。
Bridgeの未来、マルチチェーン対応が当たり前の時代へ
先の例で上げたPoly NetworkやWolmholeのようにところてんコントラクトの部分に現物の資産を抱えたまま資産をBridgeさせる手法を「クロスチェーン」と呼びます。そして、このクロスチェーンはWeb3.0の拡大とともにハッキングリスクが高まっていく諸刃の剣であることも説明しました。
その前提を踏まえて、Web3.0の最先端では「マルチチェーン」化が進められています。これはクロスチェーンのように現物資産を抱えずに資産を異なるブロックチェーンに移動させる技術のことで、後述するEthereumとLayer2のような関係性です。資産を抱えない分、クロスチェーンより安全というわけです。
当然、理想的な状態は、すべてマルチチェーン化されたBridgeを提供することですが、ある日突然「完璧」なBridgeが登場することはありえません。まだ整いきっていないWeb3.0の不完全なインフラの上でいきなりマルチチェーン対応のBridgeを構築するよりも、まずはチェーン特化、アプリケーション特化のBridgeから始め、モジュール化した各機能をマージしていく戦略を取るBridgeプロトコルが多いでしょう。
現時点においてはBridgeを提供しようとするプロジェクトが乱立し競争は激化する一方ですが、開発者は、市場投入までの時間よりもセキュリティを優先させるという規律を守る必要があります。
さらに、最高のブリッジとは、最も安全で、相互接続され、高速で、資本効率が良く、コスト効率が良く、検閲に強いものです。すでにDeFiなどの領域には米国の証券取引委員会であるSECが監査に入っている実績もあり、いずれ巨大化したBridge開発企業にも監査が入ることになります。それまでに運営母体を十分に分散化し、高いセキュリティを構築しておく必要があります。
これまではBitcoinやEthereumが1つの細胞として成長してきたのがこれまでで、Bridgeの誕生によりお互いの細胞を行き来する毛細血管が整いつつあります。細胞が集まって生物が活動できるように、ブロックチェーン間を相互運用性を持つことでWeb3.0のインフラは整い、徐々にできることが増えていくのです。
現時点においてはPolkadotらが展開する解決策とBridgeが乱立する解決策どちらが将来のスタンダードになるかわからない状況ではありますので、このレイヤーの今後の成長に期待しつつ動向を見ていきたいと考えております。
本日は以上です。
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はい、本日は以上になります。
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